黒人差別と若い2人

映画「ビール・ストリートの恋人たち(原題:If Beale Street Cloud Talk)」を観た。

この映画は2018年のアメリカ映画で、映画のジャンルはドラマ映画だ。

この映画の原作はアメリカの黒人の小説家の、ジェームス・ボールドウィンの小説「ビール・ストリートに口あらば」だ。

この映画の舞台は1970年代初頭のアメリカのニューヨークのハーレムだ。

この映画の主人公はティッシュという女性と、ファニーという男性だ。ティッシュは19歳で、ファニーは22歳だ。2人は恋人同士だ。

この映画の冒頭は、ティッシュとファニーの間に子供ができたというところから始まる。ティッシュがファニーの子を身ごもったのだ。

1970年代初頭とは、黒人の公民権運動のピークが過ぎた頃だ。黒人の公民権運動で、それまで人種隔離政策をとられて、白人社会から徹底的に排除されてきた黒人が立ちあがった。

つまり黒人がアメリカという国での自由と平等を求めて立ち上がったのだ。

この映画の中には、マルコムXの名前が出てくる。マルコムXとはアメリカの黒人の公民権運動活動家だ。マルコムX公民権運動が盛んだった1965年の2月21日に40歳という若さで殺害されている。

マルコムXの人生は、スパイク・リー監督による「マルコムX」という映画で、デンゼル・ワシントン主演で映画化されている。

黒人の公民権運動の活動家には、マーチン・ルーサー・キング・Jrがいる。キング牧師も1968年4月4日に暗殺されている。

マルコムXは攻撃的な活動家で、キング牧師は温和な活動家とされているが、2人ともその影響力ゆえに殺されている。

黒人が白人と平等になるということは当時の社会においてはそれほどショッキングなことだったのだろう。

この映画の主人公ファニーは、レイプ犯として刑務所に入れられてしまう。

当時黒人は無実の罪で警察に捕らえられてしまうことが多かった様子がこの映画でも暗示されている。マリファナ所持で捕まって、車の泥棒の罪を着せられるというような。

ファニーの母は、キリスト教の熱心な信者であるようだ。ファニーの母はティッシュのことを穢れた淫売として扱う。「私の息子は、この女に誘惑されてそれが原因で捕まった」と。

ティッシュはデパートの売り子の仕事をしている。ティッシュは言う。「黒人男性の客は、私が正気を失ってはいないかという目で私を見る。一方、白人男性の客は、私の手に香水を吹き付けて私の手を取り、じっと匂いを嗅ぐ。それは、私が買いたいとでも言うかのように」と。

黒人は白人の従属者であるという大衆の間や、高官の間に広がった考え方は、個々の人を深く傷つける。