2015-01-01から1年間の記事一覧

宗教と政治

映画「ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~(原題:Jesus Camp)」を観た。 この映画は2006年のアメリカのドキュメンタリー映画である。 内容を簡単に言うとこうだ。この映画は、アメリカの政治的右派を支持するキリスト教福音派もしくは、キリ…

これは誰の選択か?

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(原題:Once Upon A Time In America)を観た。 禁酒法時代(1920~1933)のアメリカを描いた映画で、映画の主要人物たちは、アメリカのニュー・ヨークのユダヤ人街のギャングである。特に主要な人物としては、ヌードル…

未来を見つめる

映画「トゥモローランド(原題:Tomorrowland)」を劇場で観た。 この映画は、ディズニー・ランドで有名な会社ディズニーによる映画であり、ディズニー・ランドに実際にあるアトラクション「トゥモローランド(映画タイトルと同じ)」を扱った映画である。 では「トゥモロ…

生を肯定する

映画「6歳のボクが、大人になるまで。(原題:Boyhood)」を観た。 この映画は主人公メイソンが6歳の時から、18歳になるまでを、実際に12年間という撮影期間をかけて、主人公たちの成長と挫折を描いた映画である。 主人公のメイソンの父と母は離婚して、メイソンは姉…

マッチ・ポンプと刷り込み

アニメ映画「空飛ぶゆうれい船」を観た。 この映画の主人公は隼人(はやと)というまだ小学生ぐらいの少年である。この映画は少年である隼人が自分の近親者を殺した犯人を見つけ出し、その敵と対決をするというように描かれている。 では、一体隼人の敵とは何なのか…

貧困の脱出の策としての音楽と、音楽による一体化

映画「ジャジー・ボーイズ(原題:Sersey Boys)」を観た。 この映画はアメリカのニュージャージー州ペルヴィル出身の4人組ポップ・ロック・グループ「フォー・シーズンズ」の伝記映画である。又、この映画の制作される前に、ミュージカル「ジャジー・ボーイズ」が公演され、…

復讐者

映画「ロスト・ハイウェイ(原題:Lost Highway)」を観た。 この映画はデビット・リンチ監督による、アメリカ、フランスの合作映画である。 この映画の主人公は2人の男であり、この2人の男というのは実は1人の男である。つまり片方の男がフレッド・マディソンであり、…

愛を知ること

映画「エル・トポ(原題:El Topo)」を観た。 映画のタイトルであるEl Topoとはモグラのことである(Elは冠詞、Topoはモグラ)。主人公はガンマンである中年ぐらいの男のエル・トポである。エル・トポは馬に乗って移動するさすらいのガンマンであり、洞窟に暮らす坊主頭…

音楽は情動を規範から解放する

映画「サウンド・オブ・ミュージック(原題:The Sound of Music)」を観た。 映画の舞台は1930年代のオーストリアの都市ザルツブルグである。映画の主人公のマリアはオーストラリアの教会(カトリック?)の修道女である。 マリアは隙をみてはいつも修道院から抜け出し…

新しい価値観と向き合う

映画「惑星ソラリス(英題:Solaris)」を観た。 映画の舞台は、未来の世界で、人間は惑星ソラリスに進出して、惑星ソラリスに基地を作っている。そして惑星ソラリスにある基地では異常が起きており、その異常を調査するために、主人公のクリスが派遣される。 惑星ソ…

破壊と創造

映画「ドニー・ダーコ(原題:Donnie Darko)」を観た。 映画の舞台はアメリカのマサチューセッツ州1988年の10月の1ヶ月を描いたものである。アメリカの10月といえばハロウィンの時期であり、この映画の最後の辺りではハロウィンのお祭りが行われている。 映画のタイ…

煽られて我を忘れた国民

映画「恐怖省(原題:Ministry of Fear)」を観た。 この映画は、イギリス人小説家グレアム・グリーンの同名小説を元にした映画である。イギリス人小説家グレアム・グリーンの代表作には「第三の男」がある。 映画「恐怖省」の舞台は第二次世界大戦時のイギリスで、ナチス・…

崇高な尊厳との一体化は必要か?

映画「死刑執行人もまた死す(原題:Hangmen Also Die!)」を観た。 映画の時代は、第二次世界大戦頃、場所はドイツに占領されたチェコスロバキアのプラハである。映画はナチス・ドイツがチェコに置いた“死刑執行人”というあだ名を持つハイドリヒ総督が、チェコにあ…

人間の生と破壊的な欲動

映画「夢(英語タイトル:Akira Kurosawa’s Dreams)」を観た。 この映画は8編の短い部分からなるオムニバス映画である。1話目から①「日照り雨」②「桃畑」③「雪あらし」④「トンネル」⑤「鴉」⑥「赤富士」⑦「鬼哭」⑧「水車のある村」までの計8作により構成されている。 この8つの物語…

性に対して放埒であること

映画「ニンフォマニアック(Nymph()maniac vol.1,2)」を観た。 この映画の冒頭は主人公ジョー(女性)が奥まった街路の上で倒れているのを、セリグマンという老人の男が見つけて、自分の部屋に連れて行くシーンである。セリグマンは自身の家の中で、ジョーがなぜ顔…

合法的殺人、監視社会、それは国家の肥大

映画「エム(原題:M-Eine Stadt sucht einen Moder)」を観た。 映画タイトルの「エム」とは殺人(Murder)のことを指す。この映画はフリッツ・ラング監督による1931年のドイツ映画で、ラングの代表作であり、サイコスリラー映画の初めの映画であると言われている。 映画…

崇高さから解放されろ!!

映画「セッション(原題:Whiplash)」を劇場で観た。 この映画はプロのジャズ・ドラマーを目指す青年アンドリュー・ニーマンと、彼の所属する音楽学校で教師として勤めていたフィッシャーとの音楽を通じた戦いの物語である。 ニーマンは全米屈指の名門校シェイファー…

無計画に真理に近づく

映画「ヤバい経済学(原題:Freakonomics)」を観た。この映画は、ジャーナリスト、スティーヴン・ダブナーと経済学者スティーヴン・レヴィットによる共著「ヤバい経済学」を元に作られた映画である(本は400万部売れたそう)。 この映画で一貫しているテーマは「インセン…

偶発性への気づきと、選択肢の存在

映画「マグノリア(原題:Magnolia)」を観た。この映画はアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス市のハリウッドという場所で、2日間という短い時間に起こる物語であり、またこの物語の主人公は多数存在する。 主要登場人物の大半が過去からの問題に縛られている…

結婚と愛と

映画「アパートの鍵貸します(原題:The Apartment)」を観た。 この映画の主人公は大手保険会社に勤めるC・C・バクスター(通称バディ・バッド)という男である。バディには公然にはできない秘密があった。それは自分の上司5人に自分のアパートの部屋を不倫の密会の場所…

欲望と節度

映画「インサイド・ジョブ(原題:Inside Job)」を観た。 2008年9月15日に起きた世界金融危機について取り上げた、ドキュメンタリー映画である。映画の冒頭でこう表示される。「2008年の世界金融危機は、数千万人もの貯蓄や仕事や住宅を犠牲にした」と。つまり世界…

安全な水とは?

映画「フロウ~水が大企業に独占される~(原題:Flow For Love of Water)」を観た。この映画は、我々の生活に欠かすことのできない“水”についてのドキュメンタリー映画である。 この映画を簡単に要約すると、こうだ。我々の生活の源である水は、現在汚染さ…

自立、評価、変えるべき常識の変革

映画「ネイバーズ(原題:Bad Neighbors)」を観た。 舞台はアメリカの住宅街。住宅街の一戸建ての家に赤ちゃん連れの夫婦が引っ越して来る。夫婦は「隣人がゲイのカップルなら理想的だ」などと話していると、なんと隣の家に住み始めたのは大学のフラタニテ…

よくわからないもの、それが恐怖

映画「シングルマン(原題:A Single Man)」を観た。 物語の主人公は大学教授の中年男性で、彼はゲイである。恋人ジムを自動車事故で亡くした直後である。映画は彼が死を決意してそれを実行しようとした一日を描いている。 何故彼が恋人の死で自殺を決意し…

「内なるものを明かせば救われる、さもなくばわが身を滅ぼす」

映画「フロム・イーブル~バチカンを震撼させた悪魔の神父~(原題:Deliver Us From Evil)」を観た。この映画はオリバー・オクレディ(オーリー神父)の行った性的虐待を、その被害者とオクレディと教会の3つの側面から描いたドキュメンタリー作品である。…

結婚とは何か?愛とは何か?

映画「物語る私たち(原題:Stories We Tell)」を観た。 この映画はカナダの女優サラ・ポーリーを巡る物語である。この映画は主にサラ・ポーリーの実の父親は誰か?ということについて展開し、実の父がわかった後には、父とは何か?についても触れられる。 …

小説、それはただのトリックに過ぎない(普遍性それは人工物)

映画「グレート・ビューティー 追憶のローマ(原題:La Grande Bellezza)」を観た。 タイトルにある通りにこの映画の展開する場所は、イタリアのローマである。主人公は60歳ぐらいの男性でジェップという名前である。この男は若い時に歴史的な名作小説を書…

新しい価値観の誕生

映画「ノー(原題:No)」を観た。 映画の舞台となる国はチリ。時は1998年。チリでは既存の政権の存続を問う、国民投票が開かれようとしていた。 当時の体制側のリーダーであるピノチェト将軍は、チリで独裁政治を行っていた。ピノチェトは1973年にクーデタ…

支配からの覚醒

映画「ジュピター(原題:Jupiter Ascending)」を劇場で観た。 映画のタイトル「Jupiter Ascending(直訳:ジュピター上昇)」のJupiter(ジュピター)とは、木星ことでもあり、また神話の中で神々の神として語られる天空神、雷神ゼウスのことである(ジュ…

規範が崩壊してしまった社会

映画「ガンモ(原題:Gummo)」を観た。 2人の少年を中心とした作品で、その他の登場人物も少年、少女が多い。大人が出てきたとしても近代人として成熟した大人というよりは、人生に挫折したようなロクでもない大人たちが登場する。 この映画は物語のようで…