信用

映画「スティング(原題:The Sting)」を観た。

この映画は、1973年のアメリカ映画で、映画のジャンルはコメディ・犯罪・ドラマだ。

この映画の舞台は1936年のアメリカだ。

この映画の主題は、詐欺だ。

この映画の主人公は、ジョニー・フッカーという男だ。ジョニー・フッカーは詐欺師だ。フッカーにはルーサーという師匠がいる。フッカーとルーサーは道端で盗難劇を演じて、そこで詐欺を働いている。

お金を持っていそうな人物に狙いを定めて、このお金をケガで運べないから代わりに運んでくれと言って、大金だからこうやって隠すんだと言って、ズボンの下に札束を隠す。その時にズボンから用意した偽の札束を取り出して、お金を失敬するという方法だ。

ある時2人は、アイルランド系の詐欺師の大ボスのお金を盗んでしまう。これがこの映画の悲劇の始まりだ。フッカーとアーサーにお金を盗られたことを知った大ボスの詐欺師ドイル・ロネガンは2人を殺してお金を取り戻そうとする。

お金だけではなく、2人の命をとることで、自分のメンツを保つためだ。アーサーはドイルの手下に殺される。そしてフッカーも命を狙われることになる。

だが、この映画の冒頭に登場するアーサーという人物は黒人だ。家族もいる。アーサーは映画中にこう言う。「金持ちは、黒人のことを信用しない」と。

黒人の人種隔離政策に反対する公民権運動が盛んになるのは1960年代のことだ。つまり1936年の時点ではアメリカでは公然と人種隔離政策が行われてきたということだ。「金持ちは黒人を信用しない」。つまり黒人に大金を貸す人物はいないということだ。

それでは黒人が何か事業をしたくても何もすることができない。黒人には信用がないから。

この映画の解説の分を読んでいるとconという名詞にぶつかる。このconという文字は「信用詐欺」のことを表している。信用を利用して詐欺をする。それが信用詐欺だ。つまり、この人物が役割を担っているのだからこの集団は信用できるぞというわけだ。

金を盗まれて困っている黒人。黒人に助けを求めるのろまな白人。黒人は頭の回転が遅いから騙せるという思い込みによる確証。人の信用を利用すること、つまり人の思い込みを利用することによって、詐欺を働く。

馬鹿で信用できない黒人という像をうまく利用して、詐欺を働くアーサー。アーサーの復讐を巡ってこの映画は展開していく。もしアーサーが主人公だったら?黒人が主人公のスティングも見てみたい気もする。