戦争で金儲け

映画「拳銃貸します(原題:This Gun for Hire)」を観た。

この映画は1942年のアメリカ映画で、犯罪サスペンス映画だ。

この映画には2人の中心人物が存在する。1人はレヴンという殺し屋で、レヴンがこの映画の表面上の主人公ということができるかもしれない。もう1人の主人公は実験的な主人公で、エレン・グラハムという女性だ。

この映画の舞台設定は映画公開時と同時代の1942年頃だ。時は第2次大戦の真っ最中だ。アメリカは当時日本と戦争をしていた。

この映画の中に登場する黒幕は2人いる。1人はブルースターという化学会社の社長だ。もう1人はバーネットというアメリカの上院議員だ。前者の化学会社の社長のブルースターは戦争を商売の道具としている。

映画中でそれはこう描かれる。ブルースターは毒ガスを作ってそれを日本に売り、アメリカ国内では対毒ガスマスクを売り出すといった形だ。要は、ブルースター軍産複合体の一部だ。

戦争はブルースターにとってはお金儲けの手段だ。

もう一方のバーネット上院議員の差し迫った問題は、国防だ。アメリカが戦争で負けることが、バーネット上院議員にとっての問題なのだ。そしてこの映画の中でバーネット上院議員ブルースターの持つ化学会社を敵視している。

上院議員にとっては戦争が長引いて、アメリカが戦争に負けることは最も避けたいことだ。それに対してブルースターは、戦争が続けば続くほど儲かる。バーネット上院議員ブルースターに対抗するために、女性を雇うことになる。

その女性が実質的な主人公のエレン・グラハムだ。グラハムは殺し屋であるレヴンや、恋人の内の1人の警官であるマイケルや、アメリカのスパイだが今はブルースターの手下であるゲイツといった人物の間を飛び交う。

そしてグラハムは最終的に、バーネット上院議員からの依頼を達成することになる。つまり、グラハムの活躍によって、戦争を金儲けの手段とする軍産複合体の社長ブルースターを倒すことに成功するのだ。

一方で表面上の主人公であるレヴンは、表面上はグラハムを支配して、レヴンの生存維持のために利用しているように見えるのだが、実はレヴンがコントロールされていることに、この映画ではなっている。

つまり表面上の支配者はレヴンであり、マイケルなのだが、実質的な支配者はエレン・グラハムだ。この映画の中で描かる女性スパイはあまりにも鮮やかに人を魅了する。