人と人との繋がりというミクロ単位

映画「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(原題:The Big Sick)」を観た。

この映画は2017年のアメリカ映画で、ロマンティック・コメディ映画だ。この映画の主人公はクメイル・ナンジアニというパキスタン生れで、シカゴに住むコメディアンだ。

クメイルは売れないコメディアンとしてステージに立っている。ショーが終わった後の席で、クメイルはエミリー・ガードナーという女性に声をかける。

エミリーはショーの途中に、クメイルに野次を飛ばした相手だった。エミリーはコメディアンを応援するために奇声を発したと言うが、クメイルは少し腑に落ちない表情をする。エミリーはクメイルに会う度に「私は今は誰とも付き合う気はない」と言う。

それには様々な理由があると思われるが、その一つの理由として、エミリーは離婚をしていたということもあると思われる。エミリーは言う。「ある時私は私と結婚した相手にドキドキがないと気付いたの。そんな結婚生活を私には受け入れられなかった」と。エミリーは恋に奥手になっていたのだ。

しかしクメイルのうまいアプローチもあって2人は何度も会うことになる。そんな中クメイルの部屋でエミリーはクメイルとお見合いをした女性の写真を見つける。それは小さな箱の中に入っていた。

エミリーは似たような箱にクメイルとの写真を入れていたので、エミリーのショックは相当なものだった。

そんな時エミリーは感染症による病気にかかりケンカ別れをしていたクメイルが成り行きから、エミリーの病気回復のためにエミリーを昏睡状態にする書類にサインをする。

エミリーの家族と連絡をとったクメイルはエミリーの父と母と一緒に病院で過ごすうちに、エミリーの父と母との関係を深める。

エミリーは昏睡状態から回復するが、当然のようにエミリーはクメイルを拒絶する。しかし時が経つと共にエミリーのクメイルに対する拒絶の気持ちも和らいでいく。

一方クメイルはコメディに対する姿勢をあらたにして、成功を手に入れるため、コメディに真摯に向き合うため、ニューヨークに行くことを決意する。そしてニューヨークのギグで、エミリーはクメイルに野次を飛ばすのだった。

この映画では、クメイルが中東出身ということもあってISISについての言及がみられる。クメイルが兄ナヴィードと話をしている最中に、兄ナヴィードは言う。「お前は白人女性と結婚する気なのか!?」とクメイルに対して怒鳴る。すると周囲にいる人々に配慮してクメイルは言う。「テロ反対」と。

2001年9月11日やISIS、中東とアメリカとの関係は国同士の関係では良好ではない。しかしもっとミクロの単位で見ると、つまり人と人との繋がりという面で見ると、そこには当然のように希望が見える。