愛の連鎖

映画「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(原題:Bill & Ted Face the Music)」を観た。

この映画は2020年のアメリカで映画で、映画のジャンルはタイムスリップ・ミュージック・コメディだ。

この映画の主人公は、ビルとテッドという売れないバンドの2人組とその家族だ。ビルには、ジョアンナという妻とティアという娘がいる。一方テッドには、エリザベスという妻とビリーという娘がいる。

この2家族は、カリフォルニア州サン・ディマスに住んでいる。映画の舞台は、このサン・ディマスの土地だ。

映画では、映画の冒頭で女性が乗ったタイムマシーンが現れる。2720年の未来のサン・ディマスからやってきた未来人ケリーが、そのマシーンに乗っている。ちなみに、ケリーにも別れた夫がいる。その夫は、殺人マシーンにケリーの母親によって変えられている。

この映画では、偉大な音楽家たちが登場する。1967年のロンドンのジミ・ヘンドリックスに始まり、1922年のニューオリンズルイ・アームストロング1780年のウィーンのモーツァルト、紀元前2600年の中国のリン・ルン、1万1800年前の骨で打楽器のようなものを叩くダロム、そして現在(2020年)のキッド・カディだ。

この人物たちは、最高のバンドを作るために集められる。このバンドを集めるのは、ビルとテッドの娘であるティアとビリーだ。ディアとビリーは父親たちの音楽が好きで、父親たちの作った曲の断片をつないだりしている。つまり、父親たちの曲をミックスしているのだ。

さて映画のストーリーだが、ビルとテッドは1989年に1回時空旅行をしており、その時空旅行の際に現在の妻を1400年代の中世から探し出している。その時のビルとテッドに授けられた指令は「君たちの音楽で世界を一つにしろ」というものだった。

その指令が2020年の現在再び、未来からの使者ケリーによってもたらされる。前作で、ビルとテッドは世界を救ったはずだったが、実は世界を一つにする曲を2人は作ることができなかったのだ。

ビルとテッドは未来に呼ばれて、楽器と部屋を与えられて「ここで未来を救うために曲を作りなさい」と言われる。未来の予言では、ビルとテッドが未来を救うという予言がされているのだ。しかし予言には、もう一つある。ビルとテッドが死んだとき、世界は未来は救われるというものだ。

ビルとテッドは、自分たちで世界を救う曲を書く自信がない。よって2人は予言があるのだから、未来の自分たちが世界を救う曲を書いてるに違いないと言い、未来にタイムトラベルすることにする。この辺りがなんとも情けない父親といった感じがするが、2人は真剣だ。

ビルとテッドは、映画の冒頭で、結婚式で自分たちの曲を演奏する。新曲の発表だ。娘たちはその曲を絶賛するが、結婚式に集まった人の評価は芳しくない。なぜなら2人の音楽は、ロックのイメージと離れすぎているからだ。

ロックは、通俗的な音楽で大衆に親しまれる。金持ちの音楽ではなく、労働者階級の音楽だ。それらの大衆はピエール・ブルデューディスタンクシオンという本によると、感情に訴えてくるような音楽を好む。それに対してビルとテッドの音楽は高尚過ぎるのだ。ビルとテッドの音楽は、いわゆる音楽マニア向けの音楽だ。そしてマニア向けの音楽とは感情に訴えるというよりは、感情から遠ざかることを良しとする音楽だ。

この映画の最後では「世界を一つにする音楽」が提示される。それが、映画の答えになっている。世界を一つにする行為、それが音楽だったというのがこの映画のオチだ。

この映画のビルとテッドは音楽のことしか考えていない。一見ダメな中年だが、娘には尊敬されている。なぜならビルとテッドは自分たちの好きなことに一生懸命だからだ。そして家族を、彼らは愛しているから。この愛が、世界を救うヒントになる。