性別による役割って?

映画「天才作家の妻―40年目の真実―(原題:The Wife)」を観た。

この映画は2017年のスウェーデン・イギリス・アメリカ映画で、映画のジャンルはサスペンスだ。

この映画の主人公は2人いる。この2人というのは1組の夫婦だ。夫の名前はジョセフ。妻の名前はジェーン。2人の苗字はキャッスルマンだ。

この夫婦には共通点がある。それは2人とも小説に夢中であるということだ。夫はスミス大学という大学の教授をしていて、その夫のもとに小説を書いている妻となる女性ジェーンがやってくる。

ジョセフは妻帯者であったが、ジェーンを誘惑して、ジョセフはジェーンと結婚する。2人は成功を求めて小説を書く。

ある時、出版社にお茶くみの仕事として勤めているジェーンは、編集者が白人のユダヤ系の作家を求めているのを知る。そこで、ジェーンは自分の夫であるジョセフを推す。

ジョセフは小説を書いてみたのはいいが、ジョセフの小説を読んだジェーンの感想は、つまらないというものだった。そこでジェーンはジョセフの作品に手を入れて出版に漕ぎ着け、ジェーンの修正したジョセフの小説は売れるのだった。

ジェーンは学生時代に小説家を目指していて、あるパーティで女性作家に言う。「私は小説家になりたいんです」と。すると、その女性作家はこう返す。「批評家や、出版社のトップや、雑誌の編集者は、女性作家を売り出したがらないわ。彼らの支援がなければ作品は読まれないわ」と。

この女性作家の言葉を聞いたジェーンは愕然とする。女性の小説家に未来はないと。

環境が人間を作るという考え方がある。周囲の環境が女性の社会進出を思わしくないと考えていれば、当然のように女性はそこに順応して生きる。少なくとも、生きづらくとも、女性は男性たちにより、その型の中にはめ込まれる。

ジェーンもその犠牲者の1人だ。ジェーンは作家となるべく誰よりも努力をしているのだけれど、社会がそれを拒む。

フェミニズムは女性の社会的な役割について焦点を当てる。女性を、女性らしいとされる役割にはめ込む。この社会とはいったい何だろうか?家事、料理、洗濯、子育て。古くから女性こそがふさわしいとされる仕事がある。

そして、その仕事に合わせて、女性の性格までも決定される。女性は笑顔で優しく、心遣いができて…等の女性が理想とされる性格がそうだ。

女性だから作家になれない。女性作家がいないから女性のノーベル文学賞受賞者は出ない。このようなテーマを持つ、この映画は、旧来の女性観に異議を投じる映画でもある。

女性らしい女性の役割。それは現在でも色濃く残る。女性性を否定するのではなく、いかに女性が社会に進出することをスムーズに行うか?それが一人一人の考え方や行動に左右されるのは言うまでもない。