米ソ冷戦とハリウッド

映画「ヘイル、シーザー!(原題:Hail,Caesar!)」を観た。

この映画は2016年のアメリカ映画であり、1950年代のアメリカのハリウッドの映画界を描いた映画である。映画の内容はコメディである。又、映画の背景には米ソ冷戦、資本主義と共産主義が窺われる。

映画の主人公は映画の制作管理部の部長であるエディ・マニックスという男の子と女の子の子供を持ち妻と暮らす男である。エディは部長として数々の映画の製作に関わっている。その数々の映画の内には、ベアード・ウッドロックという人気スターもいた。

とある日、映画の撮影の最中にベアードは誘拐される。ベアードを誘拐したのは、映画の脚本家たちであった。脚本家たちは誘拐者であるがベアードと仲良く語らう。そして脚本家たちは、10万ドルの身代金を映画会社キャピトル・ピクチャーズ・スタジオのマニックスの元へ請求する。

10万ドルを受け取った誘拐者である脚本家たちは、共産主義者でありロシアと通じていた。脚本家とベアードが集う邸宅は海沿いにあり、何とそこにソ連の潜水艦がハリウッドの大物スターを迎えに来た。

そして10万ドルはその俳優に渡されるが、そのスターについて行きたがった犬をキャッチするために、10万ドルの鞄は海の底に沈む(共産主義者にはお金という資本というものの根本のようなものは必要ない?)。ベアードはその間にスター俳優仲間のボビー・ドイルに助けられる。

一方、エディ・マニックスは、映画界を管理する仕事をするか、今より好条件で仕事ができるロッキード社に入社するか迷っていた。ロッキード社とはアメリカ軍の軍用機を作っている会社であり、ロッキード社のスカウトマン、ガタヒーは水爆の写真を持っていて、ロッキード社の軍用機が水爆を積めこめるようなものであることを臭わせる。

誘拐から解放されたベアードは脚本家たちに吹き込まれた共産主義的な考え方(資本主義は格差の維持をするものだ!!)をエディに伝える。するとエディはベアードの顔をひっぱたきながらこう言う。

「お前はなぜそんなことを言っているのだ!!目をさませ!!今からお前の本当の思いをセリフとして言ってこい!!」と。ベアードは制作中の映画のラスト・シーンの言葉を言おうとするが、うまく言うことができない。その映画とはキリストに関する物語である。ベアードはキリストを讃えるセリフを言うことができない。

エディは映画の最後ロッキード社のからの誘いをきっぱりと断る。エディはイデオロギーの戦いに加わるよりも、映画という真理を語る物語を作っていくことを決意したのである。

ベアードが映画の最後のセリフを言うことができないのは、ベアードの中に資本主義を生み出したキリスト教の考え(プロテスタント)に対するアンチが脚本家たちによって植え付けられたからであろう。