ギャングをマフィア逮捕のために利用したFBI

映画「ブラック・スキャンダル(原題:Black Mass)」を観た。

この映画は2015年のアメリカ映画で、犯罪映画である。この映画は実話を元にした映画で、映画の舞台はアメリカ合衆国マサチューセッツ州のボストンである。ボストンの南にある南ボストンに3人の幼なじみがいた。

1人はジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー、もう1人はビリー・バルジャー、そしてもう1人はジョン・コノリーである。ジェームズ(ジミー)とビリーは兄弟であり、ジョンはその友達である。ジミーは大人になってギャングになり、ビリーは州の議員になり、ジョンはFBIに入った。

南ボストンは貧しい白人が住む地域であり、ジミーがギャングになったのは不思議ではない。またビリーとジョンは成功したサウシー(南ボストン出身の人)であると言える。

この映画のポイントはFBIとギャングが協力してマフィアを排除し、そのままFBIとギャングが癒着し、FBIとギャングがお互いの利益のために他の犯罪集団を排除して、何が正義なのかわからなくなる点にある。

ある時FBIのジョンは幼なじみであるジミー(ホワイティ)にこう協力を呼びかける。「ジミー君は、“ウィンター・ヒル”っていうギャングのボスだよね。君の敵にイタリア系マフィアのアンジェロ・ファミリーがいるよね。アンジェロ・ファミリーは君たちの敵でもあるし、FBIの敵でもある。だから手を組んでアンジェロ・ファミリーを排除しようよ」と。

これがFBIの一捜査官とギャングのボスとの癒着の始まりである。FBIのジョンはマフィアの排除のためにジミーを利用し、ジミーはジミーの犯罪を密告したものをFBIのジョンから聞き証拠封じに殺していく。

この映画の中で、ジミーは何件もの殺人を犯す。そしてFBIの後ろ盾があるため捕まることはない。ジミーはFBIの情報操作のためにやりたい放題なのである。

映画の中ではこの事の始まりは、FBIのジョンがジミーに話を持ち掛けたことである。FBIは汚い仕事である殺人をギャングにさせているようにも見える。ジミーから仕入れた情報という建前により犯罪者を捕まえて、ジミーたちに対抗する他のギャングの、もしくは“ウィンター・ヒル”の中の密告者の名をジミーに知らせてたのだから。裏切り者をジミーが殺すことは当然ジョンたちFBIも予期していたはずである。

アメリカ国民の良心をFBIは裏切っているのではないだろうか?ジミーの殺人は当然人の目を引くが、それをそのまま放置していたFBIは、アメリカ国民の良心や、もしくは良くありたいと思う人間たちの良心を踏みにじっているのである。