母の支配

映画「白熱(原題:White Heat)」を観た。

この映画は、1949年のアメリカ映画で、映画のジャンルはギャングものだ。

この映画の主人公は、コーディ・ジャレットという強盗集団のボスだ。この映画では、コーディ一味と連邦警察官との対決が描かれると同時に、コーディとコーディの母とのマザー・コンプレックス的な心理劇も描かれる。

コーディは母親の世界一になりなさいという教訓を胸に日々悪事を働くマザコンのギャングだ。コーディは、母親に支配されている。とても強く。そしてコーディは支配されるほど、自分の支配欲を強くする。

コーディは部下や妻に対して、支配的な態度を貫く。というかハーディは母親以外の人間を人と思っていない。母親以外は皆道具に過ぎない。

しかし、コーディが唯一兄弟として認識する相手が出て来る。それは潜入捜査官のファロンという男だ。ファロンはコーディを捕まえるために、刑務所に入り、コーディに近づく。コーディは自分の強盗の死刑級の犯罪を逃れるために、他人の罪を被って入所している。

コーディは死刑級の強盗をしたのと同時に起こっていた他の犯罪の罪を自ら受ける。2つの犯罪が同時に起こったので、罪の軽い方の犯罪の処罰をコーディは受け入れたのだ。死刑より2年か3年の刑で裁かれる方が楽だと。

コーディは刑務所の中で、コーディの母親の死を知る。すると食事中にも関わらず、コーディは食堂のテーブルの上を走り回る。まるで1つの支えを失ってしまった子供のように。コーディの気が変になるのは、この時が初めてではなかった。

コーディは強いストレスを感じるからか、急にパニックのような症状に陥る。するとそばにいる母親がコーディの頭を撫でて、パニックをなだめる。元々はコーディが母親の気を引くためにパニックの真似をしていたのだが、いつの間にかふりが本気になっていた。

コーディが狂いだすと、母親は優しくなる。その時以外母親はコーディに対してひどく支配的だ。だからコーディは優しい母を得るために、本気で気が狂いはじめてしまったのだ。

この映画のラストで、コーディは化学工場のタンクを爆破させ「俺は世界一」だと言って、死んでいく。当時の化学工業の最有力地はどこであったかは知らないが、1949年は第二次世界大戦が終わったころだ。当時のアメリカは世界一強い国であっただろう。

よって世界一だと言って死んだコーディはあながち嘘をついてはいないのではないか?コーディは悪知恵を働かせて生き抜くのに対して、捜査側は最新のテクノロジーで応戦する。コーディのマザー・コンプレックスも、捜査側は熟知していた。情報は人を優位に立たせるのだろう。だからいつの時代も権力は情報を集める。