準自立

映画「レディ・バード(原題:Lady Bird)」を観た。

この映画は2017年のアメリカ映画で、青春映画だ。この映画の主人公はクリスティン・“レディ・バード”・マクファーソンという高校生の女の子だ。

レディ・バードキリスト教の学校に通っている。映画の中ではキリスト教のシスターが登場して「キルゲゴールの恋愛は良いわ」と言ったりする。その他にもシスターはトマス・アクゥイナスやアウグスティヌスの名を出すこともある。

ちなみにキルゲゴールの恋愛とは実らなかった愛で、悲愛と呼べる(キルゲゴールは一方的に婚約を破棄している)。

恋に焦がれる十代の少年少女たちにキルゲゴールの恋愛を勧めるのはなんともおかしな感じがするが、そこがこの映画の少しくすっと笑える点だ。

レディ・バードは母であるマリオン、父であるラリー、兄であるミゲル、そして兄の恋人のシェリーと一緒に暮らしている。

レディ・バード東海岸の大学(例えばニューヨークの)に通いたいと考えている。それに対して母マリオンは地元の学校つまり西海岸にある大学に通って欲しいと思っている。

レディ・バードはこの映画の中で2人の男子と恋愛関係になる。1人はダニー、もう1人はカイルだ。2人との恋愛は悲愛となる。ダニーもカイルもレディ・バードとの相性が良くはなかったのだ。

レディ・バードにはジュリアンという女友達がいる。レディ・バードはジュリアン・“ジュリー”とは良好に関係を持つことがなんとかできる。なんとかというのは、レディ・バードは、カイルと付き合いたいがために、ジュリーと離れてジュナという女友達と付き合うことになり、レディ・バードとジュリーの関係は冷え込むからだ。

この映画の主軸となっているのは親子関係、恋愛関係そして友情だ。特に親子の関係がこの映画の目を引く部分だ。十代からすれば少し説教臭いかもしれないが、この映画が良質である点は親子の愛情をユーモラスに描いている点だ。

この映画では軽く妊娠中絶の話が登場する。そしてその話が映画の終盤に繋がる。それほど目立ってピックアップされるわけではないが。

レディ・バードサクラメントというカリフォルニアにある田舎町から大都会のニュー・ヨークを夢見る女のだ。都会の華々しさと喧騒。そのような部分や都会の持つ文化にレディ・バードは憧れている。

しかし東海岸には頼れる親はいない。しかし、大都会の中で生活することにより、親から与えられた名を使うようになる。レディ・バードという高校時代の自称の名ではなく。それが頼れる親を思い起こさせるような印であるように。