安全な水とは?

 映画「フロウ~水が大企業に独占される~(原題:Flow For Love of Water)」を観た。この映画は、我々の生活に欠かすことのできない“水”についてのドキュメンタリー映画である。

 この映画を簡単に要約すると、こうだ。我々の生活の源である水は、現在汚染されてしまっている。我々が清潔な水を使おうとすれば、その水を売買している大企業にお金を支払う必要がある。お金がないと、どうなるか? 水は大企業のものであり、我々は水を得られない。しかも、その企業が売り出している水が清潔なものとは限らないが…。

 この映画では、まず我々の使う水が既に汚染されていると警告する。そこで説明されるサイクルは、こうである。人間が物質を摂取する(この段階で既に汚染物質を取り込んでいる? )。人の肝臓で除去された化学物質は、トイレから流れ、下水処理の後河川に流れる。そしてその水は再び汲み上げられ、水道供給システムを通じて蛇口まで運ばれる。つまり、汚染物質は人間の体から排出された後も残り、再び人の体の中に入る。負の循環である。

 しかも発展途上国では、もっと酷い状態である。特定の大企業(スエズ社、ヴィヴェンディ社)が水を所有して、経済的に貧しい住民に、彼らが購入できないような金額で水を売りつけているのである(アフリカなど)。

 また、こんな例もある。企業は、水を高額で売りつけるだけではなくて、その水が汚染されているというのである(ボリビアなど)。

 またダム建設も、問題になっている。ダムの基本目的は貯水であり、飲料水や農業用水の需要に対応でき、水力発電も行うことができる。しかし、ダムで水を堰止めたり、川の流れを変えることで生態系を壊している。生物の餌になる有機物も川の水の中にあるが、ダムがあると、その有機物がダムで堰止められた川の水の中に堆積して、餌になるはずだった有機物が腐って、メタンガスを発生させる。メタンガスは、主要な温室効果ガスの一つである(インドなど)。

 水を大企業が独占しているのだが、その施設は施設が設立される国の公共事業によって作られている。そこに融資をしているのは、世界銀行IMF国際通貨基金)であるが、それは事実上発展途上国に借金をさせているということである。彼らは、国を破綻させようとしている。

 また、ネスレコカ・コーラといった大企業も、水の問題と関わっている。コカ・コーラ発展途上国で、工場を設立し、地元の水を使い、その水を枯渇させ、人々の住む土地を奪っている(インド)。

 ネスレアメリカ、ミシガン州でボトル水工場を作り、その土地の自然の水を使っている。そのせいでその地域の水の量は、減っている。工場の取水量は、毎分1700リットルである。

 水道水が汚染されていて、ボトル水が安全だというが、ボトル水が水道水だったり、ボトル水からヒ素バクテリアが発見された例もある。安全な水とは何で、それは一体どのように生活したら得られるものなのだろうか?