腐敗した権力

映画「華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)」を観た。

この映画は2018年のアメリカ映画で、映画のジャンルはドキュメンタリーだ。

この映画ではドナルド・J・トランプの大統領就任までの状況を振り返っている。

アメリカで従来からあるのは2大政党というものだ。民主党共和党という2大政党が、アメリカの国政のリーダーシップを奪い合って、アメリカの政治の歴史は成り立ってきた。

2016年のアメリカの大統領選挙では、民主党ヒラリー・クリントン共和党のドナルド・J・トランプが戦った。大統領選の勝者は周知の通りトランプだ。

下品で下劣でずるいドナルド・J・トランプは、選挙で勝つことはないと、誰もが予想していたが、実際はトランプが勝った。その要因としては、ヒラリーが富裕層からの資金を集めて、富裕層からの支持を重要視していたのに対して、トランプはアメリカの労働者階級を自らに票を入れるように囲い込んだことがあげられる。

民主党からは労働者の声を聴く人としてバーニー・サンダースが支持されていたが、サンダースは多くの人の支持とは逆に、落選してヒラリーが民主党を代表する大統領候補になった。

ヒラリーよりもトランプの方がラストベルトと言われる、見捨てられた貧しい人々の支持を集めた。

トランプは口も政策も最低なこまった大統領なのだが、人々の支持を集めるに至った。その要因は民主党オバマ大統領がとった行動にも原因があるとこの映画では示される。

ミシガン州のフリントでは、スナイダーという知事の下で、近くの湖から水のパイプラインをフリントにつなぐ事業を行っていた。この工事のためにフリント市民は清潔な水を使うことができなくなった。

工事が始まってから、フリントの水道水は茶色く濁った。そしてその水は汚染されており、人体に悪影響を及ぼす量の鉛が含まれていた。

スナイダー知事は市民からの抗議の声にも関わらず、1年半以上水道に汚染された水を使った。そこでアメリカ大統領のバラク・オバマがやってきて、水を飲むというアピールをする。

要はオバマの行為は、汚染水でも黙って飲めと言ったのと同じだ。オバマは、大手証券会社を政治資金の母体としている。つまり、オバマは労働者を優先するとは限らない、富裕層のための大統領だったということになる。

権力は腐敗する。重要なのは人々の視線が常に政府の本性に向いていることだ。