ハリウッドでの赤狩り

映画「トランボ ハリウッドで最も嫌われた男(原題:Trumbo)」を観た。

この映画は2015年のアメリカ映画で、実在の人物ダルトン・トランボを描いた伝記映画である。

この映画の主人公であるダルトン・トランボとはどんな人物で何をしたのか?それに触れる前にまず、トランボの生きた時代背景を描きたい。

トランボの生きた時代1900年代前半は戦争の時代だった。この期間に2度の大戦が起きて、多数の死傷者が出ている。そんな中世界は2つの中心国に影響されて時間を刻んでいくことになる。

その国とはアメリカとソ連である。ヒトラー率いるナチズムのドイツを第2次世界大戦で破ったアメリカ軍率いる連合国軍は、新たな展開を迎えることになる。

大戦時にはアメリカ率いる西側諸国とドイツを中心とする国々との戦いであったが、今度はアメリカ対ソ連という対立が生じる。ソ連というのは共産主義者が率いる国であった。するとどうなるか?アメリカ内に存在する共産主義者を、アメリカの共産主義者たちはアメリカという国の敵ですと言う人たちがあぶりだす、という事態になる。

その時先頭を切って赤狩り(共産者狩り)をしていたのがジョセフ・マッカーシーと下院非米活動委員会であった。

当時のアメリカ政府は共産党員として誰かを名指して調べ、共産主義者であると独断で決めつけ、共産主義者を刑務所に入れていた。1940年代から1950年代にかけて赤狩りは積極的に展開された。

この映画の主人公であるダルトン・トランボは、実際に共産党員であり政府により召喚状を受け取り服役した(もちろん不当に)人物である。ダルトン・トランボはハリウッドの有名な脚本家で、赤狩りで服役し出所した後も偽名で脚本を書き、アカデミー賞を2度受賞している。

ダルトン・トランボは、優秀な脚本家であると同時に、活動家で父でもあった。トランボは赤狩りとの闘いとして脚本を書き続ける。そんな中でトランボは仕事を家庭の中に持ち込み、仕事と政治活動のために家族を傷つけることになる。

人は孤立すると生きづらくなる生き物である。家族はトランボが生きていくためのホームベースである。そのホームベースが崩れてしまったら、トランボは赤狩りの闘いの中で生き残ることはできなかっただろう。敵に勝つことばかりを考えて周囲を不幸にしてしまっては何にもならないのである。