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一方、シュルレアリスムはどのような運動だったのだろうか?
ダダは、1918年に詩人トリスタン・ツェラによりスイスのチューリヒで「ダダ宣言」をした。これと同じようにシュルレアリスムも、1924年にシュルレアリスム宣言をしている。
シュルレアリスム宣言をした場所はフランスのパリで、宣言した人物はアンドレ・ブルトンという詩人である。
シュルレアリスムに参加した人物たちは、ダダの活動をルーツとして持つ者がいる。
既存の価値観や常識に反抗したという点で両者は共通点を持つといえる。
シュルレアリスムは、西洋の近代文明や、その中で19世紀から顕著になっていた合理主義の帰結として、第一次世界大戦をとらえている。
つまり、シュルレアリストは西洋近代文明やその内に含まれる合理主義が第一次世界大戦という悲劇を招いたと考えているのである。
シュルレアリストにとって近代西洋文明が克服すべき課題なのである。 [酒井健, 2013]
さて、シュルレアリスムが敵視する近代とは、合理主義とは何なのであろうか?
まず近代について述べたい。
近代とは、主権国家、市民社会、資本主義、国民国家などを要素として持つ時代区分のことである。
主権国家とは、国家自体が他の国とは異なり、その存在が尊重されるべき一つの集団である。
市民社会とは、国家内外における人々が権利を持つ尊ばれるべき存在であるであることをいう。
資本主義とは、産業の発展により実現された経済体制のことである。
国民国家とは、国家の構成員としての国民が主権者となり、国家をコントロールするという発想から成るものである。
これらのものに共通するのは、主権国家も、市民社会も、資本主義も、国民国家も合理的な形をとるということである。
合理的とは一体どういうことか?辞典を引くと合理的とは①論理にかなっているさま。因習や迷信にとらわれないさま。②目的に合っていて無駄のないさま。というように綴られている。 [三省堂 大辞林, 2018]①は封建的で前近代的なものからの分離という形でとらえることができる。②は近代の中で目指されているものという形で読み取ることができる。