悪事をテレビの電波を使って隠す

映画「バットマン フォーエバー(原題:Batman Forever)」を観た。

この映画は1995年のアメリカ映画で、映画のジャンルはコミック原作ものだ。

この映画は、DCコミックのバットマンというダーク・ヒーローが主役となるDCコミックという出版社のコミックが、原作とされて作られている。

バットマンは、ブルース・ウェインの恐怖という闇の部分がコスチュームとして表れたダーク・ヒーローだ。ブルースは、ウェイン産業という巨大企業の社長をしている。ブルースの父もこの会社の社長だった。

ブルースの父と母は、ブルースが子供の時にブルースの目の前で強盗に殺されて死んでいる。その心の傷が、ブルースには恐怖として心に残る。ブルースは父と母の死で、気が動転して自分の豪邸の敷地の中を走り周り、そのうちに深いケーブ(洞穴)の中に落ちる。

ブルースはそのケーブの中でコウモリと遭遇する。最初ブルースはコウモリと対峙して、恐怖に襲われるが、そのうちコウモリが何か心地の良いものになっていく。そしてそのケーブに大人になったブルースはバットマンの基地を作り、毎晩バットマンの印が空に浮かび上がると、街に悪党退治に出動する。

この映画に登場する主要な悪党は、ハービー・デント/トゥー・フェイスとニグマ/クエスションマンだ。トゥー・フェイスは、自己決定を運に任せる悪党だ。いつも手にコインを持っており、そのコインによって自分の行動を決定する。

それは、バットマンとは対照的だ。バットマンは、自分の判断の決定を自分の判断で行う。運に任せるようなことはしない。トゥー・フェイスは言う。「この世は不条理だ。正義を行うものより、悪いことをする奴がいつもいい目をみている。ならば、最高の正義とは運だ。なぜなら、運は誰もに平等だからだ。悪い奴もいい奴も運の前では、等しい。ならば、運は正義だ」と。

エスションマンも、この映画に登場する悪党だ。クエスションマンは、トゥー・フェイストと共に手を組んで悪事を働くことになる。クエスションマンは、ブルースの会社のマッド・サイエンティストだった男だ。テレビの電波で人々の脳に幻想をみせるシステムを開発をしている。

人を、現実から遠ざける働きをするのがクエスションマンだ。なぜ、人を現実から遠ざける必要があるのか? それは、推測でしかないが、ウェイン産業の悪の面のためだと思う。産業は、公害から逃れることができない。社長がいかに善人でも、会社はグループとして動く。

エスションマンという悪の面を企業が抱えていたように、企業は何かしらの悪を持つ。その隠ぺいのために、クエスションマンの発明は使うことができる。つまり悪事を隠すような洗脳を、テレビの電波を通じて行うことができる。

トゥー・フェイスもクエスションマンも、バットマンに異常に執着する。それはバットマンが、2人にとって恐怖だからだ。自分たちの悪事を懲らしめようとするバットマンは、彼らにとっての恐怖だ。

ブルースも、この映画の最中に恐怖と対峙する。子供の頃に、父と母を殺されたトラウマから来る恐怖だ。ブルースは、闇の中に光を見る。つまり、恐怖の中に希望を見る。それに対して、トゥー・フェイスとクエスションマンは、恐怖の中に恐怖しか見ない。だからいつまでも彼らは悪事にこだわるのだ。恐怖に打ち勝つには、バットマンを殺すしかないと思い込んでいるからだ。

恐怖に対峙してその恐怖の中に光、つまり希望を見出すことができるのか? それが、正義のヒーローと悪党とのコインの裏表のような違いだ。この映画で、バットマンは恐怖から立ち直る。