パワーへの執着

映画「ハウス・オブ・グッチ(原題:House of Gucci)」を観た。

この映画は2021年のアメリカ映画で、映画のジャンルはドラマ映画だ。

この映画の主人公はパトリツィア・レッジャーニ、後の、パトリツィア・グッチだ。パトリツィアは苗字からもわかるように、イタリアの高級ブランド・グッチの一族の一員であるマウリツィオ・グッチの妻になったことで、グッチ家の一員に名目上はなることになる。

グッチとは、高級バックなどの革製品などで有名だ。パトリツィアは、マウリツィオと出会う前から当然グッチのことを知っていた。パトリツィアは、マウリツィオと、パーティで知り合う。その時のパトリツィアは、マウリツィオに食らいついて離れない。

パトリツィアは、上昇志向が強い女性だ。お店の二番目に高いものを買えない今の自分の生活に、嫌気がさしている。パトリツィアは家族や教育やメディアの中で、自分のランクを思い知り、そのランクを意識して、ランクに縛られている。

そこに現れるのが、グッチ家の後継者のマウリツィオだ。マウリツィオは、グッチの名を自分からパトリツィアに明言するものの、パトリツィアの積極的なアプローチには引き気味だ。しかし、マウリツィオは、パトリツィアの積極的なセックスのとりこになっていく。

パトリツィアと会った時、マウリツィオは弁護士を目指していた。マウリツィオは固い感じの素朴な男と言った感じだ。グッチ家の後継者という以外は。その前に現れたのが、イケイケの感じのパトリツィアという女性だ。

やがて、パトリツィアはマウリツィオと結婚する。パトリツィアは店で二番目に高いものを買う財力どころか、店でいちばん高いものを買う財力を手に入れたように思われる。しかし、実際はパトリツィアは、グッチ家の株の半分を持っている、マウリツィオの父親であるロドルフォ・グッチに嫌われていた。

そこで、パトリツィアはどうしたか? ガンガン避妊せずにセックスをして、マウリツィオとの間に子供を作った。その孫の誕生に喜んだロドルフォは、パトリツィアをグッチ家の一員として受け入れる。

その後もパトリツィアは、店で一番高いものを買うランクを維持しようと、そしてそのもっと上を手に入れようと、グッチ家の人々を利用して、自らのパワーの拡大のために邁進していく。

パトリツィアは、とにかく上昇志向が強い人だ。ただ、物に対する執着心が強く、それがパワーへの執着心に変わっていく。その執着心が結果的に悲劇を生むことになるのだが、それでもパトリツィアはパワーにしがみつく。

学問の追及にエネルギーを使うのではなく、社会活動を精力的に行うのではなく、慈善活動をするのではなく、ただパワーにこだわる。夫が浮気して夫が憎いのは、離婚してパワーを失うことが恐いから。パトリツィアにとって、いや人々にとってパワーとは一体何なのだろうか?