性愛の解放

映画「シティハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(原題:Nicky Larson et le Parfum de Cupidon)」を観た。

この映画は2019年のフランス映画で、映画のジャンルはアクション・コメディだ。

この映画は日本の少年雑誌週刊少年ジャンプ」に掲載されていた、漫画「シティハンター」を原作として作られた映画だ。漫画は1985年から1991年まで続いた、大ヒット漫画で、漫画を原作としたアニメも作られている。

この映画の主要な登場人物は、主人公の冴羽獠(さえば りょう)、ヒロインの槇村香、冴羽獠の友人の槇村秀幸、冴羽獠のライバルの海坊主、冴羽獠の知り合いの刑事野上冴子などだ。ちなみにフランス版のこのシティハンターの場合、キャラクターの名前はフランス名に変更されていて、映画の原題にあるNickyと冴羽獠のことだ。

冴羽獠は、理由あって殺された刑事の友人の妹の槇村香と、始末屋の仕事を請け負っている。いわば闇の世界の住人だ。なぜなら始末人とは、殺し屋のことだからだ。

ある時、冴羽獠と槇村香のもとに、仕事が舞い込んでくる。仕事の依頼のXYZが伝言板に書き込まれていたのだ。仕事の依頼主の名前はドミニク・ルテリエ。初老の老人男性だ。

ドミニクは父が開発した、惚れる香水、惚れ薬である「キューピットの香水」を、香水を悪用しようとするテロリストのような集団から守って欲しいと、冴羽獠に依頼をする。その依頼に懐疑的だった冴羽獠だが、成り行き上その香水を追う羽目になる。

なぜならその香水は冴羽獠の目の前で奪われたからだ。冴羽獠のそんなもの狙うものがいるのかという疑問はここで疑えないものになる。

この映画は、性愛の先進国であるフランスで作られた映画だ。性愛の先進国とは、筆者が勝手につけた言葉だが、フランスは性に対して解放的だと言われている。日本も性愛に対して解放的な国だと言われている。しかし、その日本人もフランスの性愛は進んでいるというイメージを小説などから持って要るのではないだろうか?

フランスの小説家、ミシェル・ウエルベックには、例えば「セロトニン」というような小説がある。その主人公は多国籍企業に勤めていた会社員なのだが、小説の前半では、その主人公の女性遍歴が書かれている。その内容は具体的には書かないが、男女で愛を守るといったイメージではなく、性愛の解放のためにスワッピングまでする、という性に対して解放的で、挑発的な内容が見て取ることができる。

そのフランスの小説で描かれているような性愛が、アメリカの文化圏の性愛の影響を受けている日本では挑発的なものとして映るように、このシティハンターのフランス映画版は、性的に刺激的なものとなっているかもしれない。

性的に刺激的とは、性的なタブーに触れるという意味だ。義理の息子に発情する嫁の母親や、臀部の永久脱毛をしようとする役人、裸で弓矢がお尻に刺さっている精神科医など、性的な描写には事欠かないというのがこの映画だ。

もちろん女性のセクシーな体のラインについての描写もあるが、今時の映画と思わせる同性愛的な描写、つまりホモセクシャルな描写もこの映画ではふんだんに見られ、そこがこの映画の現代的な部分といえるのかもしれない。

性愛の解放を示す映画の一つとしてこの映画を観てみるのは悪くないのではないだろうか?