誰のために戦うのか?

映画「エクストリーム・ジョブ(原題:극한직업、英題:Extreme Job)」を観た。

この映画は2015年の韓国映画で、映画のジャンルはアクション・コメディだ。

この映画はざっと言ってしまうならば、張り込み警察ものだ。

主役となるのは麻薬警察官の5人だ。頼りないコ班長とその部下のジュフン、マ、ヨンホ、チャンが主役だ。

この5人は、上司から怒鳴られてばかりいる情けない警察として最初は登場する。なぜ5人が情けないのか?それは5人に当てられる警察の予算が少ないせいだ。5人の使用していい警察の予算が少なくて、5人の力が生かし切れていないのがこの映画だ。

警察というのは国家公務員だ。国民の税金によって生活しているのが警察だ。国民には金持ちもいれば、貧乏人もいる。大企業に勤める人もいれば、中小の会社で必死に働いている人たちもいる。

アジアでは1997年の7月よりタイを中心としてアジア通貨危機が起こった。その様子は、例えば韓国のケースは「国家が破産する日」という映画になっている。

アジア通貨危機の結果、韓国はどのような状況になったのか?一言で言えば、韓国は格差社会になった。極度な金持ちと、貧しい人たちしかいない、つまり中間の人たちがいない社会になった。

この映画の中でコ班長は言う。「俺たちは中小企業の人たちのために戦う」と。

1997年から20年近く経った韓国では、中間層となる中小企業の人たちが出てきたのか?それとも中小企業の人たちとは、貧しい人たちのことを指しているのか?

映画「パラサイト 半地下の家族」や「バーニング 劇場版」で描かれている社会はどのような社会か?それは格差社会だ。

一部の特権階級の金持ちが、下部の貧しい人たちを蹂躙する社会が、「パラサイト」や「バーニング」といった映画の中では描かれている。

つまり、コ班長は、特権階級よりも貧しい人たちのために働くと宣言をしている。

格差社会と言えば、この日本でも格差は実際に生じている。アンダークラスと呼ばれる可処分所得が平均の半分以下の人たちが、900万人いるのが今の日本だ。その人たちは別の形ではワーキングプアと呼ばれている。

1960年代の高度成長の中で、国民の多くが自分は中産階級であると意識してから50年以上経ち、今の日本は格差社会になってしまった。

世界の成人人口で世界の富を割ると一人の取り分は約7万ドルになる。それを知っているのかどうかはわからないが、金持ちたちは自分たちのことを考えて再分配を避けているように思える。

7万ドルが世界の成人の一人当たりに配られるだけでも、物価の安い国では、多くの人たちが救われるのにもかかわらずだ。格差社会は終わらせねばならない。