古風な男女観

映画「三つ数えろ(原題:The Big Sleep)」を観た。

この映画は、1946年のアメリカ映画で、映画のジャンルはサスペンスだ。

この映画の主人公は、マーロウという私立探偵だ。マーロウは地方検事の元で働いていたが、ある時私立探偵として、スターンウッド将軍に雇われることになる。

スターンウッド将軍は、度々ゆすりにあっていた。スターンウッド将軍には2人の娘がいる。ビビアンとカルメンだ。映画ではこの2人の娘が問題児で、その弱みに付け込まれて、スターンウッド将軍は金を周囲の連中からせびられている。

スターンウッド将軍は、お金持ちの病身の父親だ。娘2人は不良娘。娘たちと付き合う男は、スターンウッド将軍の金目当ての男たちだけ。金の周囲には多くの人間がたかるというわけだ。

この映画では、不良娘カルメンの殺人を隠すがために、次々と殺人が起こる。映画を観ている者は、映画の筋書きよりも、映画のテンポに乗せられて映画を観終える。そして最後には、伏せんが回収されないままの部分を残して、映画は2人の美男と美女で終わる。

そうこの映画の命はテンポなのだ。つまり、主人公マーロウとヒロインのビビアン役の俳優は見栄えが良いので、2人を画面に常に登場させておき、そこに殺人が起こるとますます人目をひくというわけだ。

この映画の中では、2人の娘が登場するのだが、この2人はとにかくマーロウからぞんざいに扱われる。それに負けじと2人の娘も、マーロウに対して強気だ。特にカルメンに関しては、マーロウにビンタを数発くらわされる。

マーロウは口調からして女性を常に下に見ている。しかし、マーロウの態度は将軍に対しても、誰に対しても悪いと映画を観ているうちにわかってくる。つまり、ハードボイルドな男は態度がでかいやつに見えるのだ。

マーロウは常に自信に満ち溢れていて、震えながら銃に弾を込めるのだが、その時マーロウは「俺だって恐いんだ」と言う。しかし、このマーロウの姿は実に勇敢な男そのものだ。つまり、女のために命を張る男なのだ。

この映画の明確な筋はなかなか見つけられない。ただ、かろうじてわかるのは、カルメンが殺人を犯してしまったこと。それが世間で知られないようにマーロウが体を張っていることだ。

男女観も古いもので、物語が複雑な本作は難解な映画の部類に入ると思われる。古風な男女観は今を生きる人たちに多少わかりづらいだろう。そして本作のプロットは難解極まりない。

金と私情のもつれ、脅し。これらの要素が、この映画の中にはふんだんに取り込まれている。この映画は1946年が現在に蘇るといかに不思議な時代であったかを教えると同時に、この映画の通時性も示している。