連帯

映画「ノーマ・レイ(原題:Norma rae)」を観た。

この映画は1979年のアメリカ映画で、労働組合の設立を描いた社会はドラマだ。

この映画の主人公は、映画のタイトルにあるようにノーマ・レイだ。ノーマ・レイアメリカ南部のO・P・ヘンリー紡績工場に勤めている子持ちの母だ。ノーマ・レイの勤めている紡績工場の労働環境は整ったものではない。

ノーマの母親は、紡績工場の機会の騒音で耳が一時的に聞こえない状態になる。それを工場の中にいる医者に診せても、医者は誰にでもあることだから早退届を書くからねと済ませてしまう。それに対してノーマは激怒する。医者は労災の診断を書くのが嫌なのだ。

ノーマは以前から休憩時間を長くするようにとか、紙ナプキンのマシンを職場に置くべきだという申し出をしていた。ノーマは労働環境の改善に意欲的な女性だった。

ノーマが住んでいる町は、働く場所がノーマの勤めている紡績工場しかないような土地なのだが、そこにニュー・ヨークからルーベン・ワショフスキーという男がやって来る。ワショフスキーは全米繊維労働組合の組合員で、ノーマの勤めている紡績工場に労働組合を作ろうとして南部の田舎町までやって来たのだ。

はっきり言ってしまえば、ノーマと違いワショフスキーはインテリで都会の洗練された男性だ。英語のイントネーションもノーマとは違う。きっと大学を出た男だ。

しかし、ワショフスキーは労働組合を作るのにノーマが必要だと、ノーマを労働組合の組織化に参加するように促す。つまり、インテリジェンスだけでは労働組合は作ることができないのだ。

工場内部に入ることができ、工場の従業員とも交流があり、なおかつ行動的で意志が強い人。それをワショフスキーは必要としていた。

南部にも、黒人差別や女性差別等がある。南部と言えば荒々しい人たちが住んでいるイメージがある。この映画の中で描かれる南部もそういった場所だ。

白人が黒人をリンチするシーンや、ノーマと不倫関係にあった白人男性が交際をやめたいと言ったノーマを殴るシーンがある。

洗練された人間というのははたから見ると鼻持ちならないやつに時として映るが、その逆の洗練されていない状況というものも大して良いものではない。

この映画では組合のことをユニオン(union)と言っている。ノーマがユニオンと書いた段ボール紙を高々と掲げると、工場の中にいる労働者たちが、その言葉に吸い寄せられるようにノーマを見上げる。必要なのはユニオン(union)つまり連帯なのだ。