連載 アナーキー 第15回

プルートンは、連合主義と交換銀行などという点について採り上げた。プルートンで重要なのは前者の連合主義である。国ではなくより小さい単位の自治を確立すること。それが連合主義である。

日本では考えられないことかもしれないが、この連合主義に似た考え方をする国がある。それがアメリカ合衆国である。

アメリカでは、アメリカを構成する州の存在が大きい。各州ごとに力を持つ法律が存在する。ある州で認められていることが、他の州では禁止ということが当然のように存在する。連邦主義(フェデラリスト)的な考え方である。

プルートンは連合主義を提示したが、バクーニンクロポトキンはどうなのであろうか?

しかし、ここで注意しておきたいことは、アナキズムの考え方は一人の天才がいて突然生じたというものではないということである。

様々な人々がいて、その人々の思考の積み上げが、アナキズムと呼ばれる思考を創り出したのである。

プルートンがアナキズム前史。バクーニンが無政府集産主義。クロポトキンが無政府共産主義である。つまりこれらは、人々の思考の積み上げの結果をわかりやすく形にしたものであるとも言えなくはない。

プルートンについては既に述べた。プルートンの特色は連合主義であった。次はバクーニンクロポトキンである。

ここで気付かれた方が多いと思うが、バクーニンの集産主義とクロポトキン共産主義は違うということである。そう集産主義と共産主義の差異である。これを説明したい。

簡単に言ってしまうと集産主義は生産手段を労働者、農民が管理する体制である。それに対して共産主義は生産手段だけでなく財も、労働者と農民の管理下に置くという考え方である。

集産主義に対して共産主義は財の分だけ管理下に置かれるものが増えているということになる。