連載 アナーキー 第13回

ディガーズの運動はピューリタン革命の最左翼を担った。ディガーズの運動は、中世以来の反封建主義闘争の最後の局面であったと前述した。

しかし、この反封建主義的闘争なるものは本当に終わりを迎えたのであろうか?憎まれるべき封建主義はどこかに消え去ってしまったのだろうか?その封建主義というのは別の形、別の名前で現在も存在するのではないのだろうか?封建主義は権力を持つ者のことであるといえるのではないだろうか?今現在権力を持つ者はいないのか?

いや権力を持つ者は確かに存在する。例えばそれはアメリカ企業である。今現在世界を所有しているのは圧倒的にアメリカの企業である。

製造、金融、サービス、小売りなどはほぼ全分野においてアメリカの企業が支配している。アメリカの企業による所有率は全体の50パーセントに迫っている。 [ノーム・チョムスキー 訳/大地舜, 2018, ページ: 20]

こう言う人がいるかもしれない。「アメリカの企業は確かに世界を支配しているかもしれない。ただ支配するのってそんなに悪いことなの?支配により秩序が生まれるよ。」と。

しかし、現実には支配によっては、秩序など生まれはしない。支配によって生じるのは抑圧である。例えばピストルズの解散の理由がマルコムによるピストルズのコントロールという事実にあったように。秩序は、人々の間から自発的に湧き上がるものなのである。

アメリカの企業、例えばアップル社の製品を作る中国の工場で、労働者は搾取されていなかったか? [ダニエル・ライオンズ, 2012]

アメリカだけではない。欧米や日本の大手衣料品業者は労働者を適切な環境の上で働かせていたか? [ウィキペティア, 2018]

答えはいずれも悲惨な結果を生じさせたということである。

世界をコントロールする企業は、誰かに安全を届けたりするかもしれないが、それは購買力のある真実を知らない客や、真実を知っていても気にしない客に対してだけである。

グローバルな企業は弱者を増々痛めつける。弱者とされる人々の収入源はグローバルな企業である。

その企業が、労働者のことを第一に考えているとは思えない。企業が考えるのは重役の利益である。ウィンスタンリーの時代から権力の支配は終わってはいないのである。