連載 アナーキー 第12回

アナキズムの源流は、イギリスのピューリタン革命を担った民衆運動で最も左寄りだと言われいるディガーズに見て取ることができる。

そして、アナキズムの繁忙期は19世紀から20世紀初頭である。

アナキズムの繁忙期の主要人物には、フランスのプルードン、ロシアのバクーニン、同じくロシアのクロポトキンが上げられる。

アナキズムの源流がディガーズであり、アナキズムの繁忙期を担ったのが、プルートン、バクーニンクロポトキンである。

まずディガーズについて述べたいと思う。

ディガーズとは“掘り耕す人々”という意味である。なぜディガーズ(掘り耕す人々)なのか?それはディガーズのとった行動からである。

ディガーズは貧民の一団である。その一団が1649年4月1日にイギリスのサリー州コバム近郊の聖ジョージの丘で、荒れた土地を開墾し共同生活を始めた。

荒れた土地を耕す人々。それがディガーズのことである。

この運動は1年で弾圧されて終了してしまう。しかしこの運動は現在では、反封建主義闘争の最後であり、この先に来る反資本主義的民衆運動の先駆けと言われている。 [小泉徹, 書籍版 1987]

いつの時代でも権力は存在する。支配する者と、抑圧される側の民衆。この非対称性。

持てる者が多くを持ち、持たざる者は命の保証が前者よりも少なくなる。

ディガーズはジェラールズ・ウィンスタンリーというリーダーを持っていた。ウィンスタンリーに関して残っている資料は多くはない。

ウィンスタンリーは1643年の内戦による不況が原因となって破産するまで、数年に渡って織物商人としてロンドンで生活していた。 [佐々木専三郎, 1957]

この破産の経験がウィンスタンリーに当時の社会状況における不備に対しての視線を開かせる一因となったのではないか。

ウィンスタンリーは弱者がいつまでも救われない現実を実感したのだろう。なぜ権力者は富めるだけ富んでいるのに、弱者は何もないのであろうか?そんな疑問がウィンスタンリーの頭によぎったに違いない。