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セックス・ピストルズ、マルコム・マクラーレン、無政府主義団体(シチュアシオニスト・インターナショナル)、ギー・ドゥボール、レトリスム、イジトール・イズ―、シュルレアリスム、ダダイズム。
これらの活動に共通するのはアナーキーな態度である。どの活動も既存の権力に反抗する姿勢を貫いている。
前記のものを時代順に並べるとこうである。ダダイズム→シュルレアリスム→イジトール・イズー→レトリスム→ギー・ドゥボール→無政府主義団体(シチュアシオニスト・インターナショナル)→マルコム・マクラーレン→セックス・ピストルズ。
アナーキーな態度を持つ活動が、アメリカやヨーロッパで受け継がれている。
ダダイズムはスイスのチューリヒで誕生した。シュルレアリスムは、フランス人アンドレ・ブルトンの宣言により始まった。レトリスムを始めたイジトール・イズ―は、ルーマニアの生まれである。シチュアシオニスト・インターナショナルの主導的立場のギー・ドゥボールは、フランスで活動した。無政府主義団体(シチュアシオニスト・インターナショナル)に所属したマルコム・マクラーレンはイギリスで活動した。そして、マルコムが関わったセックス・ピストルズはイギリスの世界的に有名なバンドである。
ヨーロッパには確実にアナーキーな態度が存在する。それはヨーロッパだけではないと思われる。権力への懐疑的な姿勢自体がアナーキーだと言えるからである。
ヨーロッパ各地に点在しているアナーキーな態度は一体いつから始まったのかという問いに対しては、アナーキー成立の地理的な出現というものと同じことが言える。
つまり、それは権力への懐疑的な態度が存在した時には、アナーキーな態度はその場所に存在したということができるのである。アナーキーな態度はいつの時代にも、又どの場所にも存在するのである。そこに権力がある限り。
しかし、アナーキーな態度、つまりアナキズムが誕生したのはいつかという問いに明確な答えがないわけではない。アナキズムにも源流とされる点があるし、その繁忙期というものがある。