Blow Up(欲望)とBlow Out(ミッドナイトクロス)

映画「ミッドナイトクロス(原題:Blow Out)」を観た。

この映画は1981年のアメリカ映画で、映画の音響効果の仕事をしている主人公ジャック・テリーが野外で効果音に使用する素材を録音中偶然に、大統領候補として出馬すると思われていたマクライアン知事が車で事故死するのに遭遇するというところから映画は展開していく。

この映画は1967年の欲望(Blow Up)から強い影響を受けている。欲望(Blow Up)も主人公のカメラマンが野外での撮影時に撮った写真の中に殺人事件の証拠となるものがあったという振り出しで映画が始まる。

ミッドナイトクロスの原題「Blow Out」と欲望の原題「Blow Up」はOutとUpが違うだけで、どちらの熟語の意味も「爆破する」という共通の意味を持つ。欲望Blow Upの方は写真を「引き伸ばして」殺人の証拠が見つかるので、Blow Upという熟語の「引き伸ばす」という意味が映画の内容を象徴している。

それに対してミッドナイトクロスBlow Outの方は「吹き消す」「パンクさせる」という意味が映画の内容を象徴しているようだ。

ミッドナイトクロスの仕組みはこうだ。女を使って、結婚している男をそそのかし、その写真を撮って男を脅し、お金を盗るとういような事をなりわいとしている集団がいた。その集団が仕事の依頼を受ける。仕事の依頼者はマクライアン候補を陥れたいと思っている人物である。そしてそこにある精神異常をきたしていると思われる愉快犯が絡んでくる。

男を陥れる集団は、マクライアン候補を誘惑し、写真を撮るのだが、そこに殺人愉快犯と思われる精神異常者が介入してきてマクライアン候補を殺してしまう。

そしてその愉快犯は殺人に便乗して、今度は候補のスキャンダル写真を依頼した相手に「都合が悪くなったでしょう?だから女を殺す」と言う。そして愉快犯は証拠隠滅の理由を盾に「愉快犯にみせかけた殺人とする」と依頼元に宣言し、女性の連続殺人を行う(証拠を知っている女だけでなく、その他の関係ない女を殺して愉快犯に見せかけるという根端)。

「吹き消す」の方の意味は、依頼者が依頼したのがばれたくないから証拠を隠滅するという意味である。

では「パンクさせる」というのはどこから来ているかというと、男を陥れる集団が撮影の際に2人の乗っている(女とマクライアン)車のタイヤを撃って「パンクさせる」ところから来ている。

欲望(Blow Up)を元に、Blow Outを作り上げてしまった監督デ・パルマには驚かされる。