甘いメロディとダンスのリズムとインプロヴィゼイションのロック

映画「ザ・ストーン・ローゼス メイド・オブ・ストーン(原題:The Stone Roses:Made of Stone)」を観た。

この映画は2013年のイギリス映画で、イギリスのバンド、ザ・ストーン・ローゼスの再結成を追ったドキュメント映画だ。

ザ・ストーン・ローゼスはイギリスのマンチェスターの4人組ロック・バンドだ。メンバーはヴォーカルのイアン・ブラウン、ギターのジョン・スクワイア、ベースのマニ、ドラムのレニだ。

このバンドの活動期間は1989年から数年だ。もっともこれはローゼスのファースト・アルバムの発表された年からの期間だ。しかし、ローゼスの活動期間をもっと長く見る見方もある。

ローゼスの活動の始まりはイアンとジョンが出会った時から始まるという見方がそれだ。バンドの形態をとったローゼスの始まりは、1983年頃からだ。1983年から1996年の解散に至るまでは13年の月日が流れている。

ローゼスが残したアルバムはファーストの「ザ・ストーン・ローゼス」とセカンドの「セカンド・カミング」のみだ。ローゼスが世に出た時の最初のインパクトとしては、ファーストの「ザ・ストーン・ローゼス」の発売とそのセールスに見ることができる。

ローゼスのファーストは100万枚売れたと言われている。後に出て来るイギリスのバンドであるオアシスのCDセールスと比べると、ローゼスの売り上げ枚数は多くはない。しかし、ローゼスの音楽的なインパクトは、後の世代にも多く見受けられる。

2011年、マンチェスターの北にあるヒートン・パークでの3日間のライヴで22万人の動員があったのも、ローゼスの後の世代への影響の大きさとみることができる。

ローゼスのサウンドは60年代のサイケデリック音楽と初期パンク(70年代)の合体であるというようなことが映画で言われる。サイケのメロディとパンクのエネルギーが合わさってできた音楽がローゼスの音楽というわけだ。

ローゼスはポップな曲に甘いメロディがのり、リズム隊はダンサブルで、時折10分近くあるようなインプロヴィゼイションも登場するのがローゼスの音楽だ。聴きやすくて、刺激的で、飽きない音楽、それがローゼスの音楽だ。

ローゼスは聴く人が踊れるような曲も作っている。映画の中の「フールズ・ゴールド」の長いインプロヴィゼイションはそれを示している。しかもローゼスはインプロヴィゼイションの唐突さも持っているバンドなので飽きにくい音楽を作っているといえる。

聴くたびに新しい発見がローゼスの音楽にはある。サイケデリアとダンスとの融合がローゼスの音楽の特徴であるとも言えるかもしれない。

「フールズ・ゴールド」の歌詞には金を持った重みで沈んでいく様子が描かれている。映画終盤バンドの仲は不仲になる。それはまるで「フールズ・ゴールド」で歌われたように、大金を手にしてビジネスの深みにはまっていく彼らのようであるのかもしれない。