意図せざる結果

映画「ディザスター・アーティスト(原題:The Disaster Artist)」を観た。

この映画は2017年のアメリカ映画で、映画のジャンルはコメディ映画になる。この映画の主人公は2人いる。グレッグとその友達トーマス・ウィソー(トミー・ウィソー)だ。グレッグとトミーは俳優を目指す2人の男性だ。

この2人は実在する人物で、この映画はグレッグとトミーがザ・ルームという映画を製作するまでの物語を描いたものだ。

ザ・ルームという映画は公開された時には1800ドルの興行収入しかない映画だったが、現在はカルト映画として世界中の映画ファンの間で愛される作品になっている。

このディザスター・アーティストという映画では、ザ・ルームという映画がどのような内容になっているかは詳細に述べられないが、この映画の持つ滑稽さだけはそれでも伝わってくる。そしてその変な加減が映画を観る者を笑いに誘う。

ザ・ルームという映画は、内容的には悲劇の映画だ。主人公は失恋に打ちひしがれて自殺する。これがザ・ルームの結末なのだが、これが人の笑いを誘うものとなっている。

この映画ディザスター・アーティストは映画製作についての映画だ。グレッグとトミーはサンフランシスコで出会い夢を追ってロサンゼルスに旅出つ。そしてサンフランシスコで2人はトミーの自費を遣って映画を製作する。映画の役がなかなかもらえないから自分たちで自費製作として映画を作ってしまおうと考えるのだ。

ディザスター・アーティストを見た限りでは、ザ・ルームという映画は、高級な映画製作技術に対して釣り合わない監督、脚本、主演、製作だったとも言える。そしてその釣り合わなさこそが、この映画の面白さの源であると考えることができる。

デジタル技術を駆使して背景を作り込んでおいて、その上に乗せられるのは妙な節回しのセリフや演技だ。そのギャップにこそ、ザ・ルームの魅力はあるようだ。

このディザスター・アーティストの背景にあるものは高額な映画作品という一級品をあざ笑うかのような意図せざるユーモア、そしてグレッグとトミーとの友情、見せかけだけで判断される俳優という職業の残酷さなどだ。

ザ・ルームという映画は笑える作品ということで人々に愛されている。しかし、ザ・ルームは元々真面目な失恋モノとして作られたことが明らかになると、そこには何か笑うに笑えないシリアスさが読み取れるようだ。