イメージの固着

映画「モリーズ・ゲーム(原題:Molly’s Game)」を観た。

この映画は2017年のアメリカ映画で、モリー・ブルームという女性の半生を描いた映画だ。この映画の主人公であるモリー・ブルームという女性は、スキーのフリー・スタイルの選手で、全米の中でも有力な選手で、国を代表するような選手だった。

しかし2002年に競技中にジャンプの着地に失敗してその時の怪我が元でスキー選手を引退している。そしてその後のモリーは、トランプ・ゲームの賭博の世界に足を踏み入れる。

モリーが賭博の世界で行って行っていたのは、最初は賭博場で貰うことのできる高額のチップのためだった。

アメリカにはラスベガスがある様に賭博に寛容な州もある。アメリカでカジノが厳しく制限されている州は、アーカンソー州ハワイ州ユタ州だ。この映画中モリーが賭博をするのはカリフォルニア州ニューヨーク州だ。ちなみにこの2つの州でも、どの程度の賭博行為までが許容範囲であるかが線引きされているようだ。

このボーダーラインというのが賭博で手数料をとることにあり、もしこの行為をすると連邦法1955条に違反する。映画中にモリーが賭博の手数料をとる場面があるが、これは賭けに負けた人が払いきれないような金額が賭けられた時の対処法だ。

負けが大きくなり過ぎで払えないとなると、ゲームが成立しなくなり、暴力的な解決策に走ってしまう恐れもあるので、その危険のリスクを少なくするために、モリーは手数料をとる。

モリーのした違反行為は、裁判所の判断によると世間が騒ぐほどのものではなく、軽犯罪として見てもいいものであるということだ。つまり、このモリーズ・ゲームの主題となっているような賭博のチップでもうけて悪いことをしているというような見方は、それ自体が無効なものであると言っていいのではないか。

つまりマスコミはモリーの犯した軽犯罪を大きなものに見せかけて世間を騒がせること成功したし、FBIもそのような風潮に便乗していたのだ。

スポーツ選手には不思議なことに世界的に似たようなイメージがある。スポーツは神聖なものでセックスやお金とは一切関係がないというようなイメージだ。

世間のこのような見方は、モリーに対しても注がれた。我々は普段の生活の中でイメージに捉われて、実は無効な思い込みをしていることがある。このモリーズ・ゲームという映画は、その思い込みの存在に気付かせてくれる。