復讐という浄化過程

映画「スリー・ビルボード(原題:Thee Billboards Outside Fbbing,Missouri)」を観た。この映画は2017年のアメリカ映画で、娘を殺された母親の復讐にとらわれた姿を描いたドラマ映画だ。

ミズーリ州のエビングで、1人の若い女性がレイプされた後焼かれて焼死体としてみつかる。その女性の名前はアンジェラ・ヘイズといい、ミルドレッドの娘だった。ミルドレッドはアンジェラと言い争いをしていた。

「ママが車を貸してくれないと、レイプされて死んじゃうわ!!」「レイプされればいいわ!!」

この娘と母との言い合いが現実のものとなってしまうことになる。

この映画はミルドレッドの娘アンジェラが殺されて数カ月たった後のことが描かれている。主となるのはミルドレッドと警察の対立だ。

アンジェラが殺されたにも関わらず、警察は捜索をしてくれない。これがミルドレッドの言い分で、実際警察は犯人捜しを諦めている。そこでミルドレッドは「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜウィロビー署長」という広告板を道路わきに掲示したり、警察署に火炎瓶を投げつけたりする。

人々の注目を引いて娘アンジェラを殺した犯人を警察に捜させようとするのが、ミルドレッドの目的だ。

その警察署には他の多くの警察署と同じように、黒人差別やゲイ差別をする警官がいる。その典型例として、この映画で描かれるのは、ディクソン巡査という人物だ。

ディクソンは自分の気に入らないことがあると暴力を使って片づけようとするタイプの、黒人嫌いで、ゲイ嫌いの人物だ。

しかし、この映画の中でディクソンは自らの態度を180度あらためることになる。そのきっかけは癌で死んでしまいそうな署長からの手紙であり、ミルドレッドが投げつけた火炎瓶の火事だ。

これらがディクソンをただの暴力者から、正しい者へと導くことになる。

ディクソンはバーでレイプの告白をする男を発見する。この男はDNA鑑定の結果、無罪と判断される。このレイプ魔の元軍人は、アンジェラが殺された事件当日には国外にいたことになっている。しかもこの元軍人は、当時、軍の指揮下に置かれていたので、これ以上調べることができなかった。

ディクソンは、ミルドレッドと共に、映画のラストにこの軍事を殺すかもしれない旅に出る。2人はこの元軍人を殺すかもしれないし、またはそうしないかもしれないと述べて、この映画は終わる。

ミルドレッドは復讐により、殺しをすることを否定するこの映画は終わる。冷静な復讐者は果たして、復讐者として適任なのか?いや、ミルドレッドは冷静になっているように見えるだけなのだろうか?