事実を立証する

映画「否定と肯定(原題:Denial)」を観た。

この映画は2016年のアメリカ・イギリス合作映画で、歴史映画だ。この映画は第2次世界大戦のナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺についての映画だ。

この映画はホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)は実際に存在したというデボラ・リップシュタットという大学教授の女性と、ホロコーストはなかったというイギリスの歴史家デイヴィット・アーヴィングという男性が登場する。

リップシュタットとアーヴィングの対立がこの映画の中心だ。アーヴィングというのは1990年代から2000年代頃には既に日陰に隠れた存在だった。この時点でアーヴィングというのは過去の人だったのだ。

しかし、アーヴィングがリップシュタットの公演中に、公演に対して異議申し立てをしたことで、アーヴィングは異端の歴史学者として注目を集めることになる。

アーヴィングはイギリスでアメリカに住むアメリカ人のリップシュタットに対して訴訟を起こす。リップシュタットが彼女の本である「ホロコーストの真実」の中で、アーヴィングを侮辱したというのが、アーヴィングがリップシュタットを訴えた理由だ。

そしてこれを機にアーヴィングは歴史の書き換えを行うことにより、アーヴィングの名を歴史に残そうとするのだ。日陰に追い込まれていたアーヴィングは、ホロコーストはなかったという事実を作り上げることでカムバックしようとしたのだ。

ホロコーストはなかった」。この意見に対して、リップシュタットは激怒したし、実際にホロコーストための収容所に収容されていた人も自らの存在を示すために立ち上がろうとする。

しかしアーヴィングは論争の天才であった。激怒したリップスタットの姿を撮影して報道し、アーヴィングの正しさを引き立てたり、ホロコーストの収容者であったことを示す刺青をしている人の写真をアーヴィングはテレビに映して、こんなのはインチキだと、ホロコーストの実際の被害にあった人を侮辱する。

このようなアーヴィングにリップスタットの側の弁護士たちは、慎重な態度をとって対応する。弁護士たちはリップシュタットやホロコーストの被害にあったユダヤ人を証言台に立たせることはしない。

そんなことをしてもアーヴィングの思うツボだからだ。イギリスでは被告側が原告の過ちを立証しなければならない。疑う側よりも、疑われる側の方が多くの負担をする。疑いを持った者が有利の状況の中で、リップシュタットの弁護士たちはリップシュタットの本を手掛かりにホロコーストの存在を証明するのだった。