アメリカの押し付ける民主主義

映画「アトミック・ブロンド(原題:Atomic Blonde)」を観た。

この映画は2017年のアメリカ映画で、スパイ・アクション映画だ。この映画の背景には、1989年の11月のベルリンの壁崩壊がある。

映画の舞台となる場所は、西ドイツと東ドイツだ。民主主義国家と仲が良い西ドイツと、共産主義国家と仲が良い東ドイツがあり、この映画の戦闘シーンは主に東ドイツだ。

映画の主人公は、ローレン・ブロートンというアメリカ人だ。ローレンはCIAに所属する諜報員だ。そしてローレンはアメリカのCIAの諜報員として、イギリスのMI6と、ソ連KGBに潜入している。

つまりローレンは3つの国の諜報機関に所属しているが、ローレンの第1優先とする目的となるのは母国アメリカの利益だ。

この映画の中でキーとなるのは、諜報員の名前が載ったリストを誰が手に入れるかということと、二重スパイ、サッチェルとは誰かということだ。前述したように二重スパイサッチェルサッチェルとはローレンのことだ。

そしてもう1つのキーであるリストは誰の手に渡るか?ということであるが、答えをいってしまえば、リストなどもともとありはしないのだ。二重スパイサッチェル=ローレンの作った偽の情報である諜報員リストなるものは、アメリカの国益のためのおとりなのだ。

サッチェルと諜報員リストが繋がるのがこの映画の見どころであるのかもしれない。アメリカの作った偽の情報を巡って、イギリス、フランス、ソ連アメリカが対抗しあうのがこの映画の構造だ。

もちろんアメリカとしては自らの作り出した情報の有効性を確保するのがおもな対抗戦への参加の目的だろう。それに対してイギリス、フランス、ソ連アメリカの偽情報を本物であると信じているため、情報の非対称性が生じて、アメリカが優位に立つのだが。

この映画はアメリカのCIA職員であるローレンが母国に帰って幸せなのは良いとしても、アメリカの目的達成は、誰のためのハッピーなのかという疑問がよぎる。アメリカの進む道が常に正しいのだというのがこの映画の主張なのだろうか?

アメリカの進む道が常に正しい?東ドイツと西ドイツの統一が、ドイツの人々を幸福にしたのか?旧東ドイツと旧西ドイツの間に経済格差があったとしても、とりあえずは民主主義がドイツに成立して良しとしてもだ。

ドミニカ、グアデラマ、ニカラグアパナマ、中東に対してアメリカがとった行動は、良いことだったのか?仮にアメリカの推し進める民主主義とやらを良いとしても、これらの国に真の民主主義はもたらせられたのか!?