映画「ギミー・デンジャー(原題:Gimme Danger)」を観た。
この映画は2016年のアメリカの音楽ドキュメンタリー映画で、アメリカのバンド、ザ・ストゥージズについての映画だ。
現在のミュージシャンたちに多大な影響を与えたパンク・ミュージックというものが存在する。そのパンク・ミュージックのミュージシャンたちに影響を与えたとされる3つの60年代のバンドがある。
そのバンドとは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、MC5、そしてザ・ストゥージズだ。ザ・ストゥージズと一緒に活動していた期間があるMC5。ザ・ストゥージズのファースト・アルバムのプロデューサーであるヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイル。
ヴェルヴェッツ、MC5、ザ・ストゥージズは60年代に交流があったアーティストたちからなるバンドだ。ヴェルベッツ、MC5、ザ・ストゥージズはビートルズやローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンというようなバンドのように商業的な大成功はしなかったが、ヴェルヴェッツ、MC5、ザ・ストゥージズの影響を公言するかのようなバンドは数多くいる。
この映画「ギミー・デンジャー」の監督であるジム・ジャームッシュも、ザ・ストゥージズに影響を受けたアーティストの1人だ。
ザ・ストゥージズといえばイギー・ポップというフロントマンの名前が連想される。イギー・ポップは世界中で大ヒットした映画「トレインスポッティング」の主題歌「Lust For Life」を歌っていることで有名である。
そして映画「トレスポ」から2年後の1998年に「べルヴェット・ゴールドマイン」という映画が登場する。この映画の主人公は、イギー・ポップとデイヴィッド・ボウイを足したような人物である。
そしてこの映画「べルヴェット」を起点として、ザ・ストゥージズの再結成が実現する。この再結成は、この「ギミー・デンジャー」という映画自体の存在に大きな影響を与えているのだろう。
この再結成の成功が、ザ・ストゥージズというバンドは商業的価値だけでなく、歴史的価値があるということをあらためて証明したからだ。
ザ・ストゥージズのメンバーはイギー・ポップ(ヴォ―カル)、ロン・アシュトン(ギター、ベース)、スコット・アシュトン(ドラムス)、デイヴ・アレクサンダー(ベース)、スティーヴ・マッケイ(サックス)、ジェイムス・ウィリアムスン(ギター)という人物たちから構成されていた。
これらのメンバーすべてが同時につまり共時的にメンバーだったわけではないが、これらのメンバーは通時的にザ・ストゥージズだったのだ。
ロック史上には数々の商業的にあまり成功しなかったが、後に影響を与えたバンドがある。ロックはもしかしたら名を知られていることのバンドたちが積み重ねてきた革新により成立しているのかもしれない。名の知られていない60年代アーティストを今の音楽として聴くという奇妙なことも起こるかもしれない。