神と共に生きた人

映画「不屈の男 アンブロークン(原題:Unbroken)」を観た。

この映画は2014年のアメリカ映画で、第2次世界大戦時の日本における米兵捕虜の物語だ。その米兵捕虜の名前は、ルイ・ザンペリーニ。

ルイは1936年のベルリン・オリンピックに出場した選手だ。ルイはベルリン・オリンピックでの500M走でラスト一周を56秒という当時の最速タイムで走ったことで有名だ。

第2次世界大戦中に、日本軍はアメリカを含む連合国軍と戦っていた。ルイはアメリカの爆撃機に乗って、日本の領土を空襲していた。ルイはある出撃の際に日本軍の攻撃を受け被弾し、海の真ん中に墜落する。そして47日間ルイは海を漂う。

この時フィルとマークというアメリカの兵隊と苦難を共にしている。48日目にルイはフィルと共に(マックは33日目に死んだ)日本軍に捕えられる。そしてその後東京の捕虜収容所に送られる。

そこでルイはこの映画の最大の敵である渡辺と出会う。渡辺は日本軍の伍長であった。つまり捕虜の処遇を決定する役割を持っていた。この渡辺が捕虜に対して執拗な虐待を行う人物であり、米兵たちからはバードと呼ばれていた。

映画中、渡辺をなぜ捕虜たちがバードと呼ぶかという理由について触れられる。なぜ渡辺がバードと呼ばれるか?それは渡辺があだ名を知った際に渡辺が怒らないようにするためだ。なぜなら渡辺は明らかに異常で捕虜に対して何をするかわからないから。

ルイは渡辺に目をつけられる。渡辺はルイを何度も何度も殴る。竹刀で、皮ベルトで、拳で、足で。ルイは映画中それに耐え続ける。

1945年の終戦と同時に捕虜収容所の捕虜たちは解放される。そして、日本軍の要職にいた人物たちは軍事裁判にかけられることになる。当然渡辺は罪を負うことになる。しかし渡辺は逃亡し罪を逃れた。そして渡辺は2003年に亡くなった。

ルイは神を信じていた。海を漂っている最中にルイは誓う。「この嵐が過ぎ去ったら、私はあなたにすべてを捧げます」と。そして、その後のルイは神と共に生きた。

ルイは自分を執拗に虐待した渡辺を許した。ルイは神に従ったからだ。それに対して渡辺はルイに会うのを避けた。渡辺は自分の罪に向き合うことができなかった。渡辺の罪の意識に許しを、渡辺の神は与えなかった。

渡辺の中に神はいたのだろうか?渡辺の中に神がいたとしてもそれは許す神ではなかったのだろう。渡辺は自分の罪の重みから逃げ続けたのだ。