子供を産むということ

映画「白い帽子の女(原題:By the Sea)」を観た。

この映画の舞台は1970年代の南フランスの浜辺にあるホテルとその周辺の町である。映画の主人公はローランド・バートランドというアメリカ人作家とその妻であるヴァネッサである。

ある時、ローランドとヴァネッサの夫婦は、日常から逃れて、ニューヨークから南フランスの浜辺近くのホテルにやって来る。

妻ヴァネッサは夫ローランドが出掛けている間に、ホテルの自室の壁に隣の部屋が覗ける穴があるのを発見する。するとその隣の部屋に若い新婚のカップルがやって来る。ヴァネッサは部屋の壁に空いた覗き穴から隣の部屋の様子を覗く。新婚のカップルは子供を作るためのセックスに勤しむ。

はじめは覗いているのはヴァネッサだけだったが、途中から夫のローランドも妻のヴァネッサと一緒に隣の部屋を覗くようになる。

バートランド夫婦はほぼセックスレスの夫婦であり、隣の部屋の新婚カップルのフランソワとレアはセックスばかりをしている。

ローランド夫婦の片側であるヴァネッサは、夫をかたくなに拒んでいて、映画が進行するにつれてヴァネッサの行動に不可解なものが見られ始める。

ヴァネッサはローランドに「あの女と寝たいの!!」とレアを餌に夫に対して怒鳴る。そうかと思うと、ヴァネッサはレアを自室に呼んでローランドと3人でカードをする。そして最終的にヴァネッサはローランドが覗いている時に、フランソワとセックスしようとするのである。

そうヴァネッサはどこか倒錯している。映画の終盤でヴァネッサが倒錯している理由が明らかになる。

ヴァネッサが不可解な行動をとるようになった理由とは、子供を2回流産したことによるものであり、1970年代には現在より過酷だったと思われる女性が子供を産まなければならないという社会的なプレッシャーによるものだと。

この映画の設定である1970年代当時はきっと今より、女性は子供を産むべきだというプレッシャーが強かったように思われる。子供を産むというのは女性に対する大きなプレッシャーである。それはきっと過去よりは重圧ではなくなったのかもしれないが、現在(2017.8.4)でもそうなのであろう。

女性は子供を産める時期を逆算して結婚のことを考える。私は子供が欲しいから30代前半までには結婚しなければならない。女性は社会的プレッシャーから自身で自身に対して暗示をかけているのかもしれない。

なぜ男と女から子供が生まれるのに、女性は子供に対する重圧を多く男性より担っているのだろうか?女性が子供を産めるタイムリミットと育児は別である。女性へのプレッシャーは現在でも大きい。