イギリス・アメリカ軍対イスラム武装勢力、そして民間人

映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(原題:Eye in the Sky)」を観た。

この映画は2015年のイギリス映画で、軍によるドローンを使った攻撃を描いた軍事サスペンス映画である。

この映画の主要な集団は3つある。1つはイギリス政府と軍。1つはアメリカ政府と軍。そしてもう1つはケニアの軍隊である。

その集団の中でも映画の中心人物であるキャサリン・パウエル大佐が所属するのがイギリス軍である。

この映画の中でイギリス、アメリカ、ケニアの敵役となるのが、イスラム武装勢力である。

ある時イスラム武装勢力ケニアのナイロビで自爆テロを計画する。その際自爆テロをして殉教者となるのが、イギリス人とアメリカ人の少年であり、その武装勢力の計画者である人物にイギリス国籍の女性がいる。

イギリス国籍者2人とアメリカ国籍者1人が自爆テロに関わるため、イギリス軍とアメリカ軍がテロ予防対策に関わることになるというのが話の筋である。

しかし、ここで不自然に思われるのが、なぜケニアの事件にアメリカとイギリスが主導権を握っているのかということ。そしてもう1つ不快な点が、戦闘の直接的な人的関与を主導権を握るイギリス・アメリカ軍が行わないということである。

この映画の見どころとなるのは、自爆テロの準備をする場所にミサイル攻撃をすることが決まった後に、攻撃で被害を受けるだろうと予測される場所で少女がお母さんに作ってもらったパンを売っているのが発見されるところである。

映画はこの少女を自爆テロで死ぬとされる60人の身代わりの犠牲として殺すか殺さないか揺れ動くところにある。アメリカの政府は殺してもかまわないと言うが、アメリカ軍一兵士がそれを拒む。イギリス軍は殺してもかまわないと判断するが、政府はそれを拒否する。

結局最後に汚れ仕事をするのは、イギリス軍となる。キャサリン・パウエル大佐は言う。「あなたは私の命令に従う。少女が死ぬ可能性は50%の未満のミサイル着弾点があるのね」と。

キャサリン大佐はあくまで予測は予測なのでコンピュータを扱う軍の部下に勘で予測を作り出すように促すのである。

そしてキャサリン大佐は言う。「あなたには責任はない」。キャサリン大佐の部下はキャサリン大佐の誘導に従って少女が死なないといういい加減な決定をする。60人の命のために。少女はコマーシャル的な犠牲である。