秘密

映画「ドント・ブリーズ(原題:Don’t Breathe)」を観た。

この映画は2016年のアメリカ映画で、デトロイドの廃墟と化した住宅地の一軒家に住む盲目の老人と、その家に盗みに入った強盗3人との攻防戦であり、ホラー・スリラーというジャンルに当たる映画である。

この映画のタイトルであるDon’t Breatheの意味とは“口外してはならない”とか“(秘密にして)漏らしてはならない”という意味である。

この映画には口外してはならない秘密を持った3つの種の人がいる。それはシンディの親と、ロッキーと、盲目の老人のことを指すと思われる。

映画の舞台となる一軒家に住んでいる老人には娘がいた。その娘はシンディ・ロバーツという金持ちの娘に車で轢かれて死んだ。シンディは親の金で罪を逃れた。シンディの親が盲目の老人に示談金で100万ドルほど払ったからだ。

その金が目当てでロッキー(女性)、アレックス(男性)、マネー(男性)の3人が盲目の老人(男性)の家に強盗に入る。すると強盗の内の2人のロッキーとアレックスが盲目の老人の家の地下室にシンディが監禁されているのを発見する。そしてシンディは何とその地下室で盲目の老人に人工授精させられていたのである。

強盗の内マネーとアレックスは盲目の老人に殺される。ロッキーは100万ドルを持って老人の一軒家から脱出する。以上である。

シンディの親は娘が人を轢き殺したことを“口外”したくはない。盲目の老人は、シンディを無理に人工授精させていたことを“口外”したくはない。ロッキーは、盲目の老人の家から100万ドル盗んだことを“口外”できない。このように3種類の“口外してはならない”ことがある。

人はかくさなければならない事実を抱えて生きるものなのかもしれない。誰だって人に言えない秘密の1つや2つあるのかもしれない。

この映画の場合ロッキーは盲目の老人の秘密により、母親から虐待される日々から解放されることになる。それは盲目の老人の善意からというよりも、ロッキーが盲目の老人の“口外してはならない”秘密を知っているからである。情報をつかんだロッキーが自由を手に入れたのである。

映画中、ロッキーもシンディと同じように盲目の老人の手により、無理やり人工授精されそうになる。それをアレックスが救う。ロッキーは盲目の老人にレイプされそうになった。

そもそも盲目の老人は何故そのようなことをしたのか?それは自分の子供が欲しいからだと老人は語る。そこで我々は盲目の老人に対する距離感を、大きな隔たりを感じずにはいられない。