アメリカが失ったもの

映画「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(原題:Where to Invate Next)」を観た。

この映画は、マイケル・ムーアが監督を務めた2015年のアメリカのドキュメンタリー映画である。

マイケル・ムーアはアメリカ国民である。そしてマイケル・ムーアの住むアメリカという国は世界を支配する帝国である。アメリカは機会を見計らっては、世界の他の国々を侵略してばかりいる。

しかし、その侵略がうまくいっていたのは、第二次世界大戦までで、それ以降のアメリカが起こした(介入した)戦争ではアメリカは勝利を収めていない。勝利は収めていないもののアメリカは依然として世界ナンバー1の軍事大国である。

映画はマイケル・ムーア監督がアメリカのペンタゴン(国防総省)に呼ばれるところから始まる。アメリカの軍関係者がマイケル・ムーアを呼び出してどうしたら戦争に勝てるかマイケル・ムーアに聞くのである。

マイケル・ムーアは言う。「兵士たちに休みを与えろ」と。そしてマイケル・ムーアは、自身がアメリカの代表として、アメリカ以外の国に侵略して、その行った先の国の良い所を奪ってしまおうと立ち上がるのである。

マイケル・ムーアは、アメリカを良い国にしようとするのであるが、結局行く先々の国の良い所はアメリカを発祥としていることに気付くのが、この映画のオチである。

マイケル・ムーアが訪ねる国は、イタリア、フランス、フィンランドスロベニア、ドイツ、ポルトガルノルウェーチュニジアアイスランドである。

マイケル・ムーアが訪ねるこれらの国では、アメリカと違って社会保障がしっかりしていたり、女性の権利が確立されていたりする。年に30~35日の有給休暇や、健康に気を配った学校給食、宿題がない学校、ただで通える大学、上司が仕事の時間外に部下に介入しないこと、タダの医療費、労働者の団結、死刑の廃止、開放的な刑務所、妊娠中絶の合法、女性の大統領、女性経営者による金融危機からの救済などなど。アメリカ以外の国にはアメリカが見習うべき所が沢山あるのである。そしてそのアメリカが見習うべき所とは、アメリカが元々生み出したものなのである。

マイケル・ムーアが見たから、マイケル・ムーアと同じような考えをした人が見たら、アメリカの現状はこのように変えるべきだと感じるのだろうか?

今現在のアメリカの在り方に凝り固まってしまう人もいるのだろう。そんな人から見たらマイケル・ムーアの言うことはただの嘘だ!!となってしまうのであろう。

マイケル・ムーアが勧める社会とは、民主主義で社会保障がしっかりしている国である。自由であるためにも民主主義と社会保障は必要なのだと映画を観る人は考えるだろう。