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自由への脱走

映画「大脱走(原題:The Great Escape)」を観た。

この映画は1963年公開のアメリカ映画で、戦争(第二次世界大戦)で捕虜になった連合国軍兵士(つまりナチス・ドイツに捕虜として捕らえられている)たちの脱獄の様子を描いた映画である。

時は第二次世界大戦(1939年~1945年)中で場所はドイツ軍占領下のどこか(映画中には場所の名前は出てこない。映画の内容に示唆されるような実在の捕虜収容所としてはスタラグ・ルフトⅢ《捕虜収容所》がある)。そこに脱走常習犯の連合国軍の兵士である捕虜が大勢移って来るところから映画は始まる。

この映画の主要な登場人物は、バージル・ヒルツというアメリカ人捕虜兵士と、ロジャー・バートレットというイギリス人捕虜兵士である。この二人には違いがある。もちろん共通点もあるのだが。共通点は同じ連合国軍の兵士であり、脱走を何度もこころみて失敗を繰り返しているところ。この二人の違いは、所属する国もそうかもしれないが、ヒルツは単独行動で脱出をこころみようとするが(映画でははじめアイブスというスコットランド人と2人で脱走をこころみようとする。まるきり一人ではないが大集団ではない)、ロジャーはあくまで軍の作戦として集団で脱走しようとするところである。またヒルツと違ってロジャーは次の脱走をしたらゲシュタポ(ドイツ)に死刑にされるところも違っている。

ロジャーにとっての脱走はあくまで軍の作戦の一環である。敵国ドイツに捕虜として捕まった後も、ロジャーは軍人として生きて、多くの部下を率い、200人~300人を脱走させるという脱走計画を立て実行する。

一方ヒルツにとって脱走とは自由のための脱走である。自分個人の自由のためというのがヒルツにとっての脱走なのである。

ロジャーはあくまで国のため、軍のため、集団のために脱走しようとするが、ヒルツおいては自分の自由のためにという目的が優先されるのである。

映画中ヒルツは最初ただ二人での脱出に失敗して、その後ロジャーの指揮下の大脱走にスカウトされる。そしてヒルツもロジャーたちと一緒に脱走を実行する。

映画の最後ロジャーはドイツ兵に銃殺される。ヒルツはスイスとの国境の辺りでドイツ兵に捕まってしまう。

個人の自由を追求する姿勢と、国の勝利のために貢献しようとする姿勢。後者の方がドイツ軍にとっては危険なものとして映ったのかもしれない。国のためにではなく個人の自由のために戦うこと。それは国という存在の存続にとって思わしいものなのだろうか?ここでは人間としての生き方を考えるといいように思われる。

つまり国というのは個々人の快適な自由のための手段として用いられるべきだということである。よって、個人の自由の追求は他者の自由を侵さない限りは、許容されるべきなのである。ヒルツの生き様はそれを考える良い機会である。