純粋という時として不都合な幻想

映画「ユージュアル・サスぺクツ(原題:The Usual Suspects)」を観た。

この映画は1995年にアメリカで制作されたクライム・サスペンス映画であり、映画の内容は、映画の中心を占める5人の常連の犯罪者の1人であるヴァーバル・キントなる人物の回想として説明されてゆく。

映画は5人の犯罪歴のある人物が警察に捕らえれるところから始まる。汚職警官だったディーン・キートン、忍び込みと銃のプロ、マクマナス、爆弾魔トッド・ホックニー、マクナマスの相棒フェンスター、詐欺師で身体障碍者のヴァーバル・キントの5人がこの映画の中でチームを組む犯罪者たちである。

この人物の紹介の時点ですでに信じていけない人がいることに皆さんは気付くのかもしれない。それはウソつきが得意の人のことである。

ディーン・キートンとマクナマス、トッド・ホックニー、フェンスター、ヴァーバル・キントの5人は、警察署の檻の中でマクナマスが持っていた儲けのネタによって一致団結する。儲けとは犯罪である強盗のことである。

この5人組はまず、エメラルドを強盗する。そしてその強盗のネタをくれた、ロサンゼルスのレット・フットから別のネタを貰う。それは宝石泥棒をする話だったが、実際にはヘロインが盗んだバックの中に入っていた。

怒った5人は、ロサンゼルスのレッド・フッドから情報の元であるコバヤシ弁護士について聞き出す。コバヤシ弁護士はその後5人に麻薬と金を強盗するように言う。コバヤシ弁護士にはボスがいて、そのボスの名前はカイザー・ソゼだと言う。

カイザー・ソゼは犯罪者や警察の間では名前を知られた存在だった。しかし、この最後のヤマである麻薬とお金を盗む仕事になると5人のうちヴァーバル・キントを残して他のメンバーは死んでしまう。

この映画はヴァーバル・キントによる回想によって進んでいく。ヴァーバル・キントは机に座った警察に対して、この一連の事件の詳細について詳しく話していくのだ。

ヴァーバル・キントの回想と同時に警察は一連の事件の調べを上司に報告している。そして警察はこんな情報を得る。最後の船の事件、つまりお金と麻薬を5人が盗もうとした船にはアルトゥーロ・マルケスという密告者が乗っていたというのだ。

そしてこのマルトゥーロ・マルケスは、警察に50人の犯罪者の名を売っていた(アメリカでは自分の罪を軽くするために警察に情報を提供するという取引がある)。その50人のうちにカイザー・ソゼというその世界では有名な犯罪者の名もあったのである。

この映画の中では何事もないかのように回想している人物がいる。だが人はどうしてその人の話を信じてしまうのか?それは彼が障碍者だからであろうか?