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生を肯定する

 映画「6歳のボクが、大人になるまで。(原題:Boyhood)」を観た。

 この映画は主人公メイソンが6歳の時から、18歳になるまでを、実際に12年間という撮影期間をかけて、主人公たちの成長と挫折を描いた映画である。

 主人公のメイソンの父と母は離婚して、メイソンは姉のサマンサと共に母親のオリヴィアの元で育てられることになる。映画の中で母親オリヴィアは3度の結婚と2度の離婚をすることになる。

 1度目の結婚で生まれた子供が、メイソンとサマンサである。

 メイソンの父と母の性格はまったく異なっている。父親はろくに仕事もせずに、子供と妻を置いてアラスカに旅立ってしまうような自由奔放な性格なのだが、母親のオリヴィアの方は違う。

 オリヴィアは安定した家庭生活を求めている。映画の中でオリヴィアはこう言い放つ。「私も自由に生きたいわ!!でも子供たちがいるから無理なの!!」これに対して父親はこうだ。「君には苦労させたね。これでも生活の支えに使ってくれ。あっ!!いま手持ちの現金無いや」

 家庭に対する父と母の構えはまったく異なっている。オリヴィアは堅実な生活を求めて自分の通う大学の教師と結婚する。しかし、その結婚の結果も思わしいものではない。

 オリヴィアの2番目の結婚相手である大学教授は、アル中で規則を重んじている。規則とは彼自身のことである。2番目の夫は自分の思い通りにならないと気が済まない。自分に逆らうものに対しては暴力的でさえある。

 それに対して1番目の父メイソン・シニアは、子供たちに対して割合おおらかである。適度に節度は持つが。

 1番目の父はリベラルであり、イラク戦争の原因はブッシュであると叫び、オバマを支持して、セックスの時には避妊しろと娘に対して告げるような男である。自由奔放すぎて家庭的ではないが、人間的魅力に満ちている。

 その1番目の父も母との離婚の後に、いわゆるアメリカの保守的な(銃と聖書を好む)両親を持つ女性と結婚するのだが。

 主人公のメイソンは母親の状況に合わせて、各地を転々とすることになる。なかなか安定した子供時代とは言い難い。このような生活では安定した生活状態の子供ではなくなるのかもと思わせるが…。

 メイソンは内向的な少年として育っていく。メイソンは芸術を愛する少年となり、自身で写真を撮るようになる。暗室にこもってばかりのメイソンにある時写真学校の教師は告げる。

 「芸術もいい。だが人に大切なのは、自制と、責任と、倫理である。君はまったく授業に出ようとしない。授業に出なさい」と。映画の中でメイソンは、自制と、責任と、倫理を持った大人へと成長していく。

 不安定な少年期を過ごしたメイソンは、やがてこういった考えに至る。

 「一瞬が大切だと皆は言うけれど、時間は続いて行くものなのだ。だから継続する時間を見つめて生きるのだ」と。これは映画のラストで、出会った女性に彼が同意するという形で述べられる、彼の考えだ。人生は刹那ではない。人生は続く。