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煽られて我を忘れた国民

 映画「恐怖省(原題:Ministry of Fear)」を観た。

 この映画は、イギリス人小説家グレアム・グリーンの同名小説を元にした映画である。イギリス人小説家グレアム・グリーンの代表作には「第三の男」がある。

 映画「恐怖省」の舞台は第二次世界大戦時のイギリスで、ナチス・ドイツのスパイがイギリスの政府の中に侵入しているという設定である。主人公の男は、スティーブン・ニールという男で、スティーブンが精神病院を退院するところからこの映画は始まる。

 映画の中では、イギリスでナチス・ドイツのスパイが活動していて、ナチス・ドイツからのスパイからなる組織は、表面上「自由諸国母の会」という形で活動をしている。しかし、この「自由諸国母の会」のメンバーが全員ナチス・ドイツのスパイかというとそうでもない。

 映画中スティーブン・ニールと恋仲になる女性カーラは、ナチス・ドイツのために働く兄ウィリーに反抗をしてニールを助ける。

 なぜニールがナチス・ドイツの組織と関係するようになったのか?それは映画の冒頭に描かれている理由からである。

ニールが精神病院から退院して(ニールは退院する時「自由だ」と言って退院する)ロンドンに向かう列車に乗るために駅に向かうと、駅の近くで婦人会の催し物が楽しそうに開かれている。

ニールは、その会場に入って行くが、その婦人会の催し物を開いているのが「自由諸国母の会」(いかにも連合国風の名前)だったのである。

ニールはある婦人に勧められて、占い小屋に入る。そしてニールが自分の未来のことについて尋ねると、占い師の女はニールにケーキの重さの正解はこうよと言って、ニールは占い師の女性からケーキの重さを聞く。

ニールはケーキの重さを当てるとケーキが貰えるという催し物の店に行って、ケーキの重さを言うとケーキはニールのものになる。

しかしそれが災いの元だった。ケーキの中には、フィルムが入っていて、それはナチス・ドイツが盗んだイギリスについての情報だったのである。

ナチス・ドイツのスパイたちは自分たちが手に入れるはずだったイギリスの情報をニールから奪い返そうとするが、それは失敗に終わる。ケーキを受け取ったことで殺されそうになったニールは自分が殺されそうになった理由を突き止めようとする。

この映画の中で印象的なのは、ニールが精神病院から出るときに言う言葉である。「自由だ」ニールは精神病院から退院する際にこう言うのである。そしていかにも自由の象徴であるような「自由諸国の母の会」の催し物の中に入って行く。それがナチス・ドイツという不自由な独裁政治の巣窟であると知らずに。

第二次世界大戦時、枢軸国側として戦争を戦っていたナチス・ドイツは、ヒトラーという扇動の天才によって成り立っていた。そしてヒトラーは自らの言葉と行動により多くの人々を迫害した。

そして日本もこの枢軸国側に加わっていた。日本はナチス・ドイツと協力関係にあったのである。この戦争の記憶を忘れてはならない。我々は煽られてはならないのである。国民が熱狂し我を忘れる時、事態はとんでもない方向に動いてしまうのである。